DQB2 | ナノ

  ニコイチ!


 夢を見た。
 自分と、もう一つのすがたの自分と、それからシドーの三人で超スーパーカーに乗ってドライブする、というものだ。
 行くあてもないままクルマはどんどんと加速していく。時折揺れる振動すら楽しんで、自分たちはおんなじ顔でけたけたとよく笑い、シドーはというと座席にもたれてどっしり構えながら、小さく笑みをたたえていた。
 
 特に珍しいものでもない、何てことはない日常風景だ(と、言い切るにはあのクルマを作った過程は重く、シドーを乗せて自由にからっぽ島内を飛び回る時間は、何ものにも代えがたいものであるが)。
 ふしぎなのは、なぜ自分がふたりいたのかということ。もしや知らぬうちに分裂願望でもあったのだろうか。ああでもそうしたら建築スピードは単純に倍だし、いいものかも。双子だったら、あんな感じだったのかな。
 
 そこまで話せば、双子ではないけれど半身のように思っている友が、何とも苦々しい顔をした。どうしたのシドー。
 オマエがふたりになったらオレの心配も倍になるじゃないか、って?
 大丈夫だよ、むしろ交代したり分担したりでちゃんと休めるようになる……かもしれないし。
 え? オマエのことだから絶対ふたり揃って物作りするだろ、って、それはまあ、否定できないなあ。
 
 それみたことか、まあしっかり面倒見てやるつもりだがな、とどこまでも夢の話、妄想でしかない話なのに大真面目に返すシドーがおかしくって、つい笑みがこぼれたのだった。



200701



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