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  never feel bad anymore


「ねえN、南の島に行こう」
「…し、ま?」

彼が突然、ボクに向かってそう言った。とっさに理解出来なくて、断片的に聞こえた単語を返すので精一杯だった。

「そう。お日様が輝いてる中で、キレイな空気吸って、海に入って遊んだりして、何にも考えないで僕たちだけで楽しく過ごすんだ」

ボクに背を向けたまま立ち尽くし、早口で長々と喋る彼に何て応えれば良いのだろう。

「トウヤ…」
「きっと幸せだよ!ねえ二人で行こうよ」

くるりと振り返る彼の、眩しいくらいの笑顔にクラクラした。

「二人だけ?」
「うん!僕とNの、二人だけで」
「ポケモン、は…?」
「そうだなあ…Nが望むなら、良いよ。必要なものは全部持って行っちゃおう。でも人間は駄目だよ」
「…」
「プラズマ団も賢人も女神もゲーチスもみーんないらない。Nと僕だけがいれば良いんだ」

見下ろしてくる彼の虚ろな瞳には何も映っていなかった。ボク以外は。

「…トウヤ、」
「ねえ、行こうよ。二人で。それからずっと一緒に、永遠に過ごそう」
「聞いてくれ、トウヤ」
「…なあに?」
「トウヤの言ってることは、すごく素敵なことだと思う」
「ホント?」
「でも…実行は出来ない」
「…」
「ボクには…キミにも、やらなければならないことはあるだろう…?」
「…………」
「逃げることは、許されない…」
「…逃げたかったんじゃないよ」
「え?」

しゃがんで俯いた彼の表情は見えない。弱々しい声とは正反対の力強さで、手を握られる。ボクもまた、強く握り返した。

「僕はただ、Nと二人でいたかっただけなんだ」
「トウヤ…」
「ごめんね、ごめんね、N」


いけないことなんだって、全然感じてなくて、ごめんね。
そう言って彼はボクを抱きしめた。





『Island in the sun』という曲がですね何かキラキラしてるけどヤンデレっぽいの感じたものでして。
ラブラブというよりは男?の方の独りよがりに聞こえて仕方なく、強引で勝手なトウヤくんだな!と主N変換余裕でしたとも。
110316


clap

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