「トウヤ、何をしているの？」
「今晩使うもやしのひげを取ってるよ」
「ひげ？それは取らなければいけないものなのかい？」
「んーひげには栄養あるっても聞くけど、僕は取ってるな。家でもそうしてたし」
「フウン……ボクも手伝うよ」
「ありがとう。でもこれめんどくさいよ？」
「なら尚更、キミ一人にさせるわけにはいかないだろう」
「…（何か大げさだけど嬉しいな）そっか、じゃあこれ、はい。ひげはこの袋に入れてね」
「ああ」

「…（ぶちぶち）」
「…（ぶちぶちぶち」
「…（ぶちぶちぶちぶち）」

「そういえば」
「うん？」
「これが、もやしというものなんだね」
「…ん？え、今更どうしたの」
「いや、トウコによくもやし体型だと言われていたから、どんなものなのか知りたかったんだが…ボクはトウコからこんな風に見られているのか…」
「……あのねＮ、トウコの馬鹿が言うことなんか全然気にしなくていいんだからね」
「別に気にしてはいないよ」
「それならいいけど…」
「…ふふ」
「え、なに？」
「トウコはいつもそう言ったあとはね、こう続けるんだ。ちゃんと食べているのかって。トウヤがボクに同じことを聞くときとよく似た、訝しげな顔でね」
「……」
「今それを思い出したら、少しおかしかった。ふふ」
「……（複雑だけどＮが何か嬉しそうだしまあいっか…）」




130514

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