dream | ナノ


深夜0時27分

眠れない。
ベッドで寝返りを何度も打ちながら、リョーマは未だ眠れずにいた。別に、明日は休みなのだから、起きてても構わないのだけど。身体は疲れていて、寝たがっている。だけど、眠れない。
さてどうしようものかと考えていたら、不意にノックの音が聞こえた。

「リョーマ〜」
「…エリー」

バッと起き上がって見ると、開けたドアの横にエリーが立っていた。いつもの笑みを浮かべながら、リョーマに歩み寄っていく。

「やっぱ起きてたんだ。ってか鍵掛けてないの、珍しいね」
「…あ」

すっかり忘れていたことに気づく。無用心な自分を心の中で叱咤した。
エリーがこの家に来てから、リョーマは自分の部屋に常に鍵をかけるようになったもちろんエリー防止のためだ。ドアだけじゃなく、窓も。油断していたら、前、恐ろしいことになったから(何があったとは言えないが)。
それなのに、今、エリーを受け入れてしまった。何をされる?そう思い、ベッドの奥へ自然と後退った。軽く心の中で構えていると、突然視界に入ってきたモノは。

「…マグカップ?」
「…リョーマさぁ、そんな警戒心丸出しにされたら、流石にあたしも傷つきますよ?」
「嘘付け。で、何、コレ」
「…。……ココアだよ。はいっ」

一瞬落ち込みつつ、すぐに気を取り戻したエリーはベッドに座り、持っていたマグカップをリョーマに差し出す。何でこんな夜中に、とか。色々疑問はあったけど、とりあえず素直に受け取った。
ゴクリ。熱く、甘い液体が、喉を潤した。どうやら相当渇いていたらしく、一気に飲み干した。猫舌の自分でも飲めるのは多分、エリーが少し冷ましてきたからだろう。
小さくお礼を呟くと、目を細めながら、彼女も同じように飲み干した。

「や〜何かね、眠れなくってさー」
「ふーん…」
「で、何かリョーマも起きてる気配がしたからココア作ってきたんだ」
「…何、起きてる気配って」
「いやぁ、リョーマのことだったら何でもわかっちゃうのよあたし」

何言ってんだか、と思っていたら、急に眠気に襲われた。…何だか、すごく、眠い。リョーマの思考はそこで停止し、横にいたエリーに身を委ねた。


「…え、リョーマ?」
「……」

さて残されたエリーは。まさか話してる途中に寝るとは思ってなかったので、しばし焦ったが、すぐにリョーマの寝顔に魅入った。キレイだなぁ、と何度見ても飽きない、いや、見るごとに好きになっていくその容姿に、エリーは心の中で悶絶した。
そして、事態を思い出し、また焦る。
そう、リョーマはエリーの肩にもたれたまま眠ってしまったのだ。つまりは、動けない。動いたら起きるかもしれない。それは避けたい。だけど、流石にピンと座ったままの姿勢がキツくなってきた。
いっそこのまま寝ようとも考えたのだが。

「ん…っ」
「…!」

普段のリョーマからはとても考えられないくらい、甘い寝声を出した。こんな声を聞いておいて、眠れるワケがない。

「(可愛い可愛い可愛い可愛いいいい!!!やばい、これ以上リョーマの傍にいると何かとにかくとてつもなくやばい…!だけど動けない…どどどどうすれば良いんだあたしは!?)」

自分の中の欲望、それと戦う理性のバトルを脳内ではじけつつ、エリーの夜は深けていったのだった。

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