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微妙な時間帯に微妙にヒマだったのでエリーはブラブラしようと外へ出た。リョーマも誘ったのだがいつも通りエリーにとって喜ばしい返事はしてくれなかった。
曇ってはいるが蒸し暑い日だった。涼もうとして近くのコンビニに入る。新商品のお菓子を見たり、漫画雑誌を立ち読みしたりして時間をつぶした。
そろそろ出ようとしたところで何かジュースでも買おうとしたが、ポケットには30円しかなかったので仕方なくそのまま出た。
「あちい」
家に帰る途中、何となく携帯を見ると着信1件とディスプレイに表示されていた。菜々子からだ。
「やべっ気付かなかった…」
慌ててかけ直すと、しばらくして携帯から聞こえたのは菜々子の澄んだ声ではなく、
『昼飯、出来たから早く帰ってこい』
すっかり耳になじんだ、エリーの大好きな声だった。
「えっリョーマ!?」
『じゃ』
用件だけを淡々と伝えた声の主は早々に電話をきった。エリーはあんぐりと口を開けたままツーツーとしか鳴らなくなった携帯を耳に当てて立ち尽くすしかなかった。
「…あんにゃろ…」
我に返ったエリーはとりあえず歩きだし、それから心の中で文句を垂れた。
「ん…?てか何でリョーマが出たんだろ」
ポケットに突っ込んだ携帯を無意味にいじくりながら、思う。手が空いていない菜々子の代わりに出たのだろうか。
不意に聞くことが出来た声が嬉しかった。電話越しだといつもと感じが違うので余計に。しかしそう甘い気持ちを長くは抱かせてくれないのがエリーの想い人だ。
「もう少ししゃべってくれたって良いじゃんよ…」
そうひとりごちても詮無きことである。だっていつものことだから。
「あ、そういやさっきのあれ……新婚さんみたいだったなあ」
早く帰ってこい、だなんて!例え菜々子の伝言だとしても、言ったのはリョーマなのだから、エリーにとってはリョーマの言葉。つまり、
「おお何かテンション上がってきた…!」
ダッシュで家に帰ろう。元気良く「ただいま!」って言うために。無愛想な「…おかえり」を聞くために。
彼女のツイートを聞いてる人はいないって意味です >タイトル