dream | ナノ


イレイザーさん

「ありっ?」
プリントから目を離して、机全体をくまなく見る。が、やはりしかし
「…ない」

隣の人のそれを見て、自分の答えが間違ってることに気づいたエリーは、非常に面倒くさいが最初からやり直すべくプリントをまっさらにしようとした。が、やはりしかし
「ない…。どこ行ったんだあ?」
机の中、下、周りを見回してもそれ――…消しゴムは見当たらなかった。こんなときはぐしゃぐしゃに塗りつぶしてそのままにするエリーだが、いかんせん消すべき範囲が広かった。

「隊長、隊長」
「…なに…」
「消しゴム貸してー」

隣の人、つまりはリョーマの肩を軽く叩いて呼びかけた。すでにプリントを終わらせて舟をこいでいたリョーマは「…はい」と割とあっさり渡してきたのだった。ああ眠いんだなと把握したエリーは、渡された…と言うか投げられた消しゴムを手に取る。

「てんきゅ」
「ん」

リョーマはそれまでは頬杖をついてウトウトしていただけだったが、今度は机にうつ伏せた。どうやら本格的に寝ることにしたようだ。
(よーし、あたしもちゃっちゃと終わらせて寝るぞ!)
エリーはさっそく借り物で誤答をザッと消しながら、(あ、寝ないでリョーマ鑑賞でも良いな)とふと思い直した。好きな子というものは、いつ見ても何度見ても飽きないし楽しいものだ。

…しかし、自分の消しゴムは一体どこに行ったのだろうか。まあいっかと言うエリーが、リョーマの腕の下に探し物があったことを知るのはもう少し後のこと。

[ ]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -