dream | ナノ


レイニーレイニー

「何してんの」

起床後、リョーマは階段を下りると何故か玄関で寝ているエリーと目が合った。合ってしまった。

「あ、おっはーリョーマ。雨止むの待ってるの」
「はよ。雨?」

ぺたぺた歩を進め、ちょうどエリーの頭の前で足を止めた。上から覗き込む格好のリョーマに、エリーは(あ、何か良いなこの体勢)とこっそり内心で思いながら疑問に答える。

「今ちょう降ってんじゃん?せっかく人が、ひとっ走りしてこようってときにさ、ざばーっとか、全く困るよね」
「ふーん。どうでも良いけど、玄関は寝っ転がる場所じゃないよね」

正確には玄関に腰をかけてそのまま後ろに倒れた感じだった。靴を履いて帽子を被ってタオルを首からかけて万全状態のエリーは本当に走る気満々だったのだろう。リョーマに指摘されても気にすることなく、エリーは両手を頭の後ろで組みながら笑った。

「てへ!あ、そうだ。君もメシ食って雨止んだら一緒走ろー」
「…いいよ、止んだらね、雨」
「え、マジで?」

誘いに軽々と乗るなんて珍しい。まさかの了承の言葉にエリーはがばっと起き上がる。勢いで帽子が落ちた。リョーマはすでにエリーから離れリビングへ向かっていた。入ろうとする直前でぴたっと足を止めて、おもむろにエリーの方を振り返る。

「…エリー」
「…な、何?」

小さくだが笑っている。ドキドキしてる場合ではない。大抵この笑みのあとに待ってるのはエリーにとってあまり嬉しくないことだ。

「今日はずっと雨降ってるでしょう、って昨日ニュースで言ってたの知らなかった?」
「え」
「じゃ」
「えええ、ちょ、…リョーマー!!」

それじゃあ自分が今まで止むのを待っていた意味とは一体。いやいやそれより先程のOKをもらえたときの喜びを返して欲しい。
エリーはがっくりうなだれて、それからすぐに靴を脱いで、からかわれた仕返しをすべく10分ぶりに立ち上がった。

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