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くんかくんか

「あーもうテスト爆発しろ…」

ノートは開きっぱなし、鉛筆は放り投げ、エリーは机から離れベッドに倒れこむ。ぼすっと音がした。
明日から始まるテストにエリーは頭を悩ませていた。大好きなテニスは出来ず、大嫌いな勉強をしなければならないテスト期間は本当に無くなって欲しいとエリーは常々思っていた。変だおかしい普通じゃないと言われるエリーも、こんな時は世間一般の学生たちと考えてることはあまり変わらなかった。
ベッドに全身を預け、しばらくそのままボーっとする。数分後、エリーはむくりと起き上がった。リョーマに癒されに行こううんよしそうしよう、とドアへ向かう。
ドアノブに手をかけようとすると、ドアが勝手に開いた。「っ、リョーマ!?」その先には今まさに会いたくて会いに行こうとしていた人物がいた。「え、え、どしたの?」嬉しさより驚きが勝ってしまう。

一緒にテスト勉強しようと誘い、断られ、部屋に無理やり居座ろうとしたら追い出され、ドアの鍵を閉められたのは記憶に新しい。そんな断固拒否!な態度はいつものことだが、リョーマがエリーの部屋に来ると言うのは本当の本当に珍しいことで。徐々に喜びが驚きを凌駕し、腕を広げ抱きつこうとしたところで、「これ」と、何かを差し出される。肩透かしを食らったエリーだが、「…?ノート?」とそれを受け取った。

「エリーのでしょ」
名前は書いてなかったが見覚えはあった。中を見るとやはりエリーの独特の字が書かれてあった(ついでに、下手くそな落書きとかも)。

「?? 何でリョーマが持ってんだ?」
「さぁ…入ってた」
「バッグに?」
「ん」
「何でだろ。まあ、ありがとー」
「じゃ。…ちゃんと勉強しろよ」
「へーい」

用を簡潔に済ませたリョーマはさっさと戻っていった。追いかけようとしたら目の前でドアが閉められ、ああデジャブ…とため息一つ。とりあえずベッドに腰かけ、手にあるノートを見つめた。

何故リョーマの荷物に紛れていたかは不明だが、それよりリョーマのバッグに入っていたという事実がエリーには重要だった。リョーマのバッグといえば、体と比べると少し不釣合いなテニスバッグ。ラケットも教科書も弁当も全部入れているらしい。初めてそのことを聞いたときは、すごくらしいな、とエリーは思ったものだ。彼らしさが詰まったバッグだなあ、と。そこに自分のこのノートが入っていた。それだけで、エリーはこのノートがとても貴重なモノのように見えてきて、思わず、

こんこん、がちゃり
「エリー、昼飯て母さんが…、…」
「あ」
「…何してるの」
「は、はっはは何もしてないよホントだよ」
「ノートに顔押し付けてるように見えたんだけど…」
「ききき気のせいさ気のせい!さあご飯!ご飯行こ!」
「…」

思わずニオイをかいでしまった、が、それは内緒だ。何にせよ、今日またひとつ、エリーの宝物が増えたのだった。




越前のノートってきっと良い匂いすると思うんです。
筆箱とかバッグとかもかいでみたいのですくんかくんか。


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