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スパゲティ

今日の家庭科は調理実習だった。赤とピンクのチェック柄のエプロン(choice by エリー)姿で料理を作ってるリョーマは、何ともエリーを萌えさせてくれた。
(かわえぇ…。あたしのチョイスは間違ってなかったな。むふふ。でも一回白くてフリフリがついたやつも着せてみたいなぁ…。いやいや、メイド服も捨て難い!)
そんなの絶対着ないだろうが、エリーの頭の中なら…ウへヘヘへ、だ。(危険)

そんなエリーの妄想は措いといて、課題?であるスパゲティはなかなか美味しそうに出来た。さて、作った後といえばやっぱり試食。

「はいっ、リョーマ!!」
「…何?」
「や、『何』じゃなくて食べてよコレ」
スパゲティをフォークに絡ませ、リョーマの口元に持ってくる。これは…。

「………」
「ほら、あ〜ん」
やはり、乙女の(?)ロマンである『あーん』だ。

「…ヤダ」
「え! ガーン…何で!!?」
「何でも。馬鹿なこと言わないで、さっさと食えば?」
「…ほ〜い(ガクッ)」
そしてやはり、その願いは叶わなかった。

(うなだれてるなぁ、アイツ)(あぁ…よっぱど食わせたかったんだろうな…)(生気が抜けた顔してるぜ…さっきまで意気揚々としてたのによ)
同じグループの男子A、男子B、男子C(名前不明)がスパゲティを食べながら、ひそひそと話した。リョーマは堪らず、溜息が漏れた。

「…ハァ」
「? どしたのリョーマ?」
「…(メンドくさ…)…はい」
「…?」

先程のエリーと同じようにスパゲティをフォークに絡ませ、エリーの前に衝き出してきた。しかし何をしたいのかがわからなく、頭上にハテナマークを浮かべるエリー。

「…口開けて」
「は、はい!」
「…あーん」
「……(ぱくっ)……っ!」
「コレで満足した?」
何とビックリ。リョーマからあの『あーん』をしてくれたのだ!!思わず誰もが目を見開いた、その瞬間。バチャッ!

「げ」
「うわっ何スパゲティに顔突っ込んでんだ!?」
「しかも何かミートソースの量増えてるし!」
「お〜〜い、生きてるか〜??」
二人が突っ込み、もう一人は呼びかけてみた。そして、ゆっくりとぶるぶる身体を震わせながらエリーは顔を上げた。

「…リョ…」
「「「リョ?」」」
「リョーマはあたしを殺す気かっ!?」
「「「…は?」」」
「できるんならとっくにやってる」
「酷ぇ!! でも大好きだリョーマー!」
「はいはいとりあえず、そのスパゲティと鼻血に塗れた顔でオレに近づかないで」
「あ、ダッシュで洗ってきます!」
ぴゅ〜〜。どうやら男子B辺りが言った『ミートソースの量が増えてる』とは、エリーが出した鼻血らしい。きっと、刺激が強すぎたのであろう。

「…越前、やっぱりお前ら仲良いな」
「んなこと無いと思うケド」
この一騒動を起こした本人は、黙々と一人、スパゲティを食べていたのであった。

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