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Halloween

「トリックオアトリートォォオオオオーーー!!!」
あたしが楽しみにしてた日がやってきた!

バッと起きてバッと着替えて、うきうきしながら隣の部屋に向かって。ドアを開けると同時に叫んだお決まりの台詞。そう、今日はハローウィン。素晴らしい祭りだよね。堂々とリョーマに悪戯が出来るんだ…っ!!むふふと笑って、何の反応も無いのに気づいてあれ?ってなる。

「リョーマー?」
「…」

まだ寝てるのかな?って思ってたら違うみたいだ。よく見ると凄い形相であたしを睨んでるし。(そんな顔すら可愛いと思うから困る)起きたばっかでただでさえ不機嫌なのが、悪化したっぽい。怯まずに歩いて、ベッドに腰を下ろしてまずあいさつ。そしてにこにこ笑顔を絶やさずに、さっきの台詞をもう一度繰り返した。

「おはよ、リョーマ。トリックオアトリートー!」
「…エリー」
「うん?」
「寝起きの俺に何を求める」
「もちろん、お菓子より悪戯ですぜ」
「却下」
「…じゃあお菓子くれないと?」
「あるワケないじゃん」
「それなら悪戯決定だね」
「う…」

あ、悩んでる悩んでる。もちろんリョーマはお菓子なんか持ってないだろう。だから朝一番に聞いてるしね。さぁもう一息で悪戯だー!むふふ。
と、いきなりリョーマが自分のパジャマのポケットに手を突っ込んだ。
(……え、え、何?)
何とも予想外な事が。そこから出てきたのは、飴玉ではないかっ。あたしは目を疑った。
無言で渡された飴玉の包み紙を剥がす。…本物だった。しかも食べてみたら美味い!でも今はそんなのどーでもいい!何でお菓子持ってんの!?
驚きを隠せないあたしに、リョーマはニヤリと笑った。(ドキッとした)

「どーせこんな事だろうと思って、用意しておいた」
「嘘ぉ!?え、何でさっきないって言ったのさ!」
「調子に乗らせておいたほうがダメージあるでしょ」
「そんな…んじゃ悪戯用に貰った魔女っ子衣装はどうなるの…!?」
「知らない」

のおおおぉぉぉおおおおお!!!!!!
見たかったのに悪戯したかったのに!これネコミミセットなんだよ!不二先輩が笑顔で貸してくれたのに…!写真撮る約束もしたのに申し訳ないよ…。
ああちょっと本気で涙出そうだ。凹んでたらリョーマがポン、とあたしの肩に手を置いた。慰めなんていらないぞ、と思って顔を上げたら。

「さてエリー、Trick or treat?」
「…、え?」
「Trick or treat?」
「…………え?」

聞こえてきたのは、あたしの何倍も発音の良いその台詞。当然、リョーマに悪戯することしか考えてなかったあたしはお菓子なんて持ってない。って事は…。

「えええ越前さんっ」
「何?」
「その拳は何なのかよければ教えて頂きたいんですが…」
「悪戯に使う」

リョーマはそれはそれはにこやかに笑ってみせて。

「 」


こうして今年のハローウィンは終わった。畜生…来年は絶対絶対ぜぇーったい悪戯してみせるぞー!!

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