2010/01/17
ベッド下のピアスについて
あなたと口論
ねぇあれは誰のもの?
あなたピアスなんてしないわよね?
あなたの男友達のもの?
でもこれ、女物よね?
わたしのこと馬鹿にしてるの?
下手な言い訳なんて聞きたくないわ!
悔しくて 悔しくて
バスルームに逃げ込んだ
頭に来たから洗面台の
鏡にルージュで殴り書き
Good-bye,
my darling
バカね 好きだったのに
どうしてわたしを裏切ったりしたの?
廊下から足音がした
どんどんこっちに近付いてくる
慌てて浴室に出戻り
鍵をかけて空の浴槽に飛び込んだわ
ガチャリ(脱衣所へのドアが開いた)
謝りにきたのかしらと小さな期待
浴槽から頭を出してじっと扉を見つめたわ
ドキドキ、無音、ドキドキ、静寂。
ガチャリ(浴室とは違うドアが開いた)
バタン(＝出て行った)
何よ!最悪!有り得ないわ!
急に馬鹿らしくなって
鍵を開けて外に出たわ
大きな鏡に見えた
ものすごい顔のわたしと
少し消されたわたしの気持ち
Good
my darling
冗談じゃないわ!
意地になって書き換えてやった
Bad
my darling
ポケットに突っ込んでいた口紅を
つい鏡に投げ付けたわ
派手な音にもお構いなしに
眉間に寄ったシワを直していたら
彼がやってきた
また浴室で隠れんぼ
再度別のドアが開き鬼が出ていく
今度はわたしもすぐドアを開けた
鏡を見て愕然としたわ
暫く息も出来なかった
But
my darling
何よりわたしの意識を引いたのは
鏡の中で大泣きするボロボロの女
それを疲れた顔で抱き寄せる男
あなたも必死になったのね
こんなめちゃくちゃな女の為に
やめてよ バカみたいじゃない
わたしばっかりがあなたを好きで
ええ、そうだわ
ええ。そうよ
どんなに責めたって
最後にはいつも同じ結末
『しかし、わたしの最愛の人』