捧げ物 | ナノ
僕らのホワイトイクザァーミネイシュン(ききらら様)

寒い。
それしかなかった。
よく寒いと思うから寒い、じゃあ暑いと思おうなんてあるが暑いとすら思えない寒さだった。
マフラーを口元が隠れるようにつけて帽子も更に深く被った。顔が一番寒い。もういっそ遊園地にいるような着ぐるみを着たい。足の指が冷たくて冷たくて歩くスピードを速めた。
もうすぐ暖房の効いた図書館だ。早く図書館に行って勉強しよう。外に出るのは嫌だったが、家には誰も居ないし電気代が勿体無い。それに受験勉強に図書館は最適だろう。
図書館が見えてくるとぱらぱらと雪が降り始めた。寒さに耐えきれず入口に向かって走った。中に入るとちょうどよいくらいに暖房が効いていて、マフラーに帽子に手袋にコートを脱いだ。今思えばたくさん防寒着を着付けてきたものだ。
席を探そうと館内を見渡すと、見なくては良かったと、そんな人物がいた。

「及川…」
「あっ!みょうじちゃん!」

私が所属する北川第一男子バレー部の主将、及川徹だ。ノートを閉じて、冬の寒さに負けないような爽やかな笑顔を見せてきた。ああウザイ。

「何でアンタが居るの…」
「この辺の図書館ってここしかないし出会うのは当たり前に近いよ」
「おっ、みょうじじゃねぇか」
「岩泉も居たの?まあ及川が一人で勉強出来るわけないか」
「みょうじちゃん今すっごい酷いこと言ったよ」

毎度のごとく及川のツッコミをスルーして席を探そうとした。

「みょうじちゃんも一緒に勉強しようよ!同じ志望校なんだし」
「お前に勉強教えてもらいたいしな」
「…私も岩泉に教えてもらいたいからここにする」

岩泉の向かいの席に座り、荷物を隣の席に置いた。岩泉は結構頭良い方だったはずだ。鞄から教科書やノートを取り出して机の上に開いて勉強を始めた。



「…そういや及川ってスポーツ推薦じゃなかったっけ」

今更気付いた事実を述べた。及川が勉強してることに何か違和感感じたと思ったらこれだ。

「スポーツ推薦だからって勉強しなかったら高校で置いていかれるに決まってるデショ」
「及川がそんなこと考えてたなんて…」
「ねえみょうじちゃん???」
「岩泉は白鳥沢にしなかったの?頭良いしいけたんじゃない?」

華麗に及川をスルーして岩泉に質問した。少し答えるのを面倒そうにして岩泉は発した。

「青城は先輩もいるしよ、学力的にもちょうどいいくらいだしな。あとコイツが何やらかすかわかんねぇし。」
「ちょっと岩ちゃ〜ん何で俺のこと問題児みたいな扱いするの〜岩ちゃんスポーツ推薦されなかったからって八つ当たりは」

鈍い音が鳴った。及川は言い切れずに分厚い本で殴られた。岩泉よ本は人を殴るものじゃない。すっごい殴りたくなったのはすっごいわかったけど。

「お前は何で青城なんだよ」
「え…飛雄達が一番進学してきそうな学校じゃん」

真顔で言うと二人は停止したかのように黙り込んで、岩泉が発した。

「お前面接で青城にした理由それ言うつもりか…?」
「えっ…………言わないよ」
「お前自分の嘘が通じると思ったか面接まで考えとけよ」

分かってます、分かってますって。本気で言うつもりなんてないです。冗談が分からないなあ岩泉はアッハッハ。けど飛雄か英か勇太郎の誰かは城西来るんじゃないかと期待してるのは事実。知り合いであるかわい…後輩が来るのは先輩として嬉しいことだ。

「そっかあ、高校生になるんだよね、私達。」
「すげー今さらだな、その実感。」
「受験勉強ばかりで高校生になるって実感は忘れるもんじゃないの?」
「すいません推薦の奴が知ったように言うのやめてくれません?」
「ごめん敬語やめてください。」
「絶対受かろうぜ、クソ及川と同じなのは最悪だけどよ。」
「そうだね、かなり最悪だけど受かれば最高だしね。」
「お願いやめて?ね、やめて?」



僕らのホワイトイクザァーミネイション


(お前は黙って応援しとけ)


遅くなってごめんね!中学時代ってなってどうしても受験になってしまいました。岩ちゃんと遥の絡みってどんなのだろうと思ったけど、クソ及川さんの扱いが更に酷くなるだけなんだなあと思いました。愛故です。
リクエストありがとう!




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