「彼等は何故こうも幾度となく反乱を起こすのか、知っているか」

 青馬に跨がる張韻は、少し離れた蔡盈に声をかけた。相変わらず顔色が悪い。

「土地が欲しいとか、仕事がないとか……。前のように住む土地や、耕す畑を与える事で改心してくれないものでしょうか」

 韻はふっと笑い、前を向く。

「甘いな。彼等はずっと我々から圧制を受けていた。乱を起こすのは、それに反発しているだけ。ただ、いくら我々が歩み寄ろうとしても、今まで積もり積もった不審は、そう簡単に拭え切れるものではない」

 だから、私が。
 韻は深く、ゆっくりと呼吸した。


 魁の北方は肥沃な草原が果てしなく広がっている。
 だが異民族の反乱が後を絶たず、そこに住む人間は少ない。
 彼等を静め、共存する事が出来れば、魁はさらに飛躍する。
 その為に、韻が派遣された。北方出身で、彼等には詳しいだろうと……。


「故郷の村があったのは、この辺り」

 韻は馬の歩みを止めた。
 草が生い茂っている中に、点々と何か人工物が見て取れる程度である。

「丁度十年前、私の故郷は炎の中に消えた」

 盈が韻の隣まで馬を進め、顔を覗き込んだ。

「仇ですか。彼等と戦うつもりなのですね」

「私は戦うつもりはない。だから私の部隊の人間しか連れて来なかったのだ」

 韻は言いながら後ろを振り返る。視線の先には兵の姿があるが、百人には満たない程度の人数である。
 異民族全体は元より、一部族とも戦って敵う人数ではない。

「え? じゃあ……どうやって」

 盈が素っ頓狂な声を上げた為に、韻は吹き出した。
 

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