リーが立ち止まったのは、到底店とは思えない、古びた……いや、ボロボロの小屋の前であった。
 確かに周りに折れた剣やら槍やらが転がっているが……。
 唖然としている私を横目に、リーは店の扉を押し開いた。

「おい、誰かいるだろう」

 リーが大きな声で言うと、天井から埃が降ってきた。

「これはこれはリー様。近々お屋敷の方へ窺おうと思っていた所でしたのに、わざわざお見え頂けるとは」

 店の奥からキーキーと耳障りな声と共に、小さな男が姿を現した。
 背丈は普通の人間の半分と言った所か。見るからに人間とは思いがたい。

「本日はどのような御用件で御座いましょう」

「剣だ。この貧弱な奴でも扱える、軽いのが良いな……だが、切れ味は軽くちゃ困る」

 店の中は以外に広く、奥行きがある。
 私は様々な武器を手に取りながら、ふらふらリーの後ろをついていく。
 剣はもちろん、銃や槍や戟、果ては異国の見た事の無いような武器まである。
 キョロキョロと辺りを見回しながら歩いていると、立ち止まったリーにぶつかった。

「リー様に二流品などお勧めしては、命が幾つあっても足りません。こちらのサーベルなどが調度良いかと」

 店主が持ち出したのは、何の変哲も無い普通のサーベルだった。

「ほほー、何か憑いてるな」

 リーがサーベルを覗き込む。
 私もつられて覗き込むが、やっぱり何の変哲も無いサーベルに見える。

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