B


You know I?B
2011/05/17 火 00:35
karusaku



『お姉様!どうか、どうか落ち着いて下さいまし!!』

『わ、私と黒子が恋人!?これは夢!夢よ!だって有りえないもん!!』


『お姉様、そう、これはパラレルワールドかもしれませんの!落ち着いて下さいまし!』


どうかそのフォトフレームを置いて下さいまし、黒子の宝物ですの、と黒子は懇願する。
美琴も流石に目の前の大人な黒子に必死に頼まれたからか、フォトフレームを元の場所へと戻す。


『……私は別に黒子の事が好きとかじゃないもん。』

『そうですの!お姉様は黒子のスキンシップに辟易されていらっしゃいましたし!』


『そうよ!あの変態黒子!』

『お姉様…わたくし、何故か目から汗が…。』

『あぁごめんごめん!あなたが悪いんじゃないもんね!……黒子だけど。』

『……この話は置いておきましょう。お姉様。』

『う、うん、そうね。先に進まないし、有りえない話なんだしね。』


『えぇ。それに…お姉様の未来はお姉様だけのものですから。
元の時代に戻られて、お姉様の望む未来を掴めばいいだけのお話ですの。』

『う、うん。なんか…ごめん。』

『いえいえ、しかしながら、13歳の黒子は、きっとめげないでしょうけど。』


黒子はくすくすと笑って、さぁ戻りましょう、と椅子を進める。
美琴もしぶしぶと、椅子へ腰掛ける。


中断していた朝食を再開し、美琴はううん、と唸る。

『でもさ、元に戻るって言ってもどうしたらいいんだろう?』

『そうですわね。今の状況で分かっている事は1つ。
おそらく、お姉様が入れ替わってしまった時、どちらのお姉様も宙に浮いていたのではないでしょうか?』

『えっと、どういう事?』

『こちらのお姉様は洗濯物を干されていましたの。そしてお姉様の元にシーツが落ちていましたから。
こちらのお姉様も何らかの拍子でベランダから落ちてしまったのかと。』

『どんだけドジなのよ…23歳の私は。』

『全くですの。黒子にいつも心配ばかりかけて…お姉様は…。』

『黒子、何か…ごめん。』

『い、いえ!お姉様がお謝りになられることはありませんの!』

首をぶんぶんと振る黒子。
何だか、目の前の黒子は大人なのに、私の知っている黒子とリアクションは一緒だったりして。
少しだけ面白い。


リンゴを摘まみながら、美琴はふと思いつく。

『じゃあ私がベランダから落ちればいいんじゃないかな?』


『えぇ。今のところ、試してみる価値があるのはそれだけでしょうか。』

きっと、あちらのお姉様もこちらへ戻ろうと動いてらっしゃるはずですから、と。

『上手くいけば、またお互いが入れ替われるかも、ってことよね?』

『はいですの。』




よし、そうと決まれば。
美琴と黒子は急いで朝食を済ませ、例のシーツを準備する。

『お姉様、大丈夫でしょうか?ここは5階ですのよ?』

『まぁ、いざとなったら能力で何とでもなるし。それに、やばそうだったら黒子、お願いね?』

『分かりましたの。』


美琴は演算し、特に問題が無さそうな事を確認する。



『ここらへん?』

『もう少し右ですの。そう、そこですわね。』

少しでも、こちらの美琴と同じ状況を再現しようと試みる2人。

『そこでお姉様はわたくしにシーツを広げて見せましたの。』

『こんな感じかな?』

『はいですの。そして私が食器棚へと目を離した瞬間に、』

『消えていたって訳よね。ってことはここらへんで…けつまづいて落っこちた、と。』



本当、バカだな…私、と呆れながら美琴はシュミレーションする。


『よし、OK。黒子、いくわよ!』

『あちらのお姉様も同じタイミングで、お姉様と同じようにベッドから落ちてくれていればいいのですが。』


『ま、それは向こうの黒子がさせてるでしょ。黒子を、信じるしかないわ。』

『お姉様…ありがとうございますの。』


じゃ、と美琴はシーツを広げて見せる。
そして、そのままベランダへと身を投げ出した。



風が頬に吹き付ける。
落ちていく中、美琴はこれは夢じゃないんだ、と実感した。







落ちていく。








自身の能力で防げるギリギリの位置まで、美琴はただ、落ちていく。








(……お願い!!)








しかし、何の変化も訪れない。






美琴は能力を使用。
磁力で、落下の衝撃を削ぐ。




地に降り立つ。
いくら落下の衝撃を削いだとはいえ、負担は大きい。





『………ちぃっ!!』
ズシャアアッ!!
激痛と、地を滑る音で、自身の足の裏が削れるのが分かる。



『お姉様!!』

頭上から叫び声が聞こえ、黒子が空間移動で私の隣に現れる。



『ダメだったみたい。…タイミングかな。』

『とにかく、治療しましょう。お姉様、こちらへ。』


黒子が私に触れ、一瞬で部屋へと空間移動してくれた。

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"You know I?C"つづく



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