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You know I?@
2011/05/16 月 22:20
karusaku
AM9:05-
『お姉様、遅くなってしまいましたが、朝食が出来ましたの。』
カウンターキッチンから声を掛けてくる恋人に、美琴はにこっと微笑んで
最後の1枚である白いシーツを広げて見せる。
『ありがと。洗濯物もこれで終わりだから、ご飯にしよう?』
そんな無邪気な恋人の様子に、"ありがとうございます"と黒子は微笑み返し、
食器の準備を始めた。
--いつもの、幸せな日曜の朝である。
『……………え?……あ……』
『お姉様、朝食後に公園にでも出かけましょうか。』
黒子は今日は良いお天気ですし、と食器をテーブルに並べながらベランダへと視線を移す。
しかし、その視線の先に、つい先ほどまで洗濯物を干していたはずの恋人の姿は無い。
『…お姉様?』
食器をそっと置き、もう一度、声を掛けるも、やはり返事は無い。
『お姉様!!』
黒子はキッチンからベランダへと走り、踏み切って、そのまま宙へと身を投げた。
…見つけましたの!!
マンションの1階、手入れの行き届いた植え込みの所で、白いシーツと一緒に美琴が倒れている。
黒子は空中で演算を行い、美琴の隣へと即座に空間移動する。
『……ったぁー。いきなり何よ!?何が起きた訳?』
『はぁ。何故、洗濯物を干していてベランダから落ちてしまうんですの?心配しましたのよ?』
シーツをばさっと手で払って、辺りを見回す恋人の姿に、黒子は安堵の溜息をつく。
同時に恋人の様子が、少しおかしい事に気付く。
『…もうお姉様ったら…ってお姉…様?』
『あぁ、黒子?私もよく分かんないんだけど…?って…あれ、黒子?』
美琴は頭上からの声に気付き、痛む頭を押さえたまま、顔を上げた。
そこには、見慣れたルームメイト…いや、ルームメイトである白井黒子似の大人な女性が居て。
顔は黒子そっくりなのだが、雰囲気が違うというか、何というか。
半端無いほどの違和感があって。
『…お姉様?何故そのような格好を…?』
黒子に似ている女性も、驚きを隠せないといった表情で美琴を見つめている。
『黒子?あんた、なんで私服なんか…?』
お互いがお互いを、どうして?あれ?という顔で覗き込む。
『……?』
『……?』
しばらくの沈黙の後。
『黒子…よね?』
『お姉様…ですわよね?』
『…わたくしは白井黒子ですの。』
『…私は御坂美琴だけど…??』
『『…って、ええええええええぇぇぇぇええええ!?』』
『ちょ、ちょ、ちょっと待って!なんで黒子が大きい訳!?』
『な、なぜお姉様が小さくなられているんですの!?』
『って言うか、ここどこ!?私達、さっきまで寮にいたわよね!?』
『お姉様?寮?何を仰ってますの?先程までわたくし達のお部屋にいましたのよ!?』
『なにわたくし達の部屋って?寮の事でしょ!?常盤台の!!』
『お姉様?常盤台の寮はもう7年も前に出られたではありませんか?』
『………7年?』
『はい、お姉様が卒業されてもう7年は経つかと…ってお姉様?もしかして…。』
『わ、わ、私、まだそこに住んでる…んですけど?』
(…この小柄なお身体。可愛らしい見覚えのあるカエル柄のパジャマ。…もしや…。)
(…黒子がなんだか大人っぽい。それに7年前?私たちの部屋?…もしかして…。)
『…お、お姉様?お姉様は今、おいくつでしたっけ?』
『…あ、あはは。やだなー黒子。わ、私は今年14よ?…く、黒子は13だっけ?』
『嫌ですわお姉様。……黒子は……今年、22歳ですの……。』
『…あ、あは、あはは。』
『うふ、うふふ…。』
『『……って、ええええぇぇぇえええぇぇええぇぇぇえええ!?』』
叫び声までシンクロしている2人の、大絶叫が響いた。
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"You know I?A"つづく
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