*愛ゆえの罵り有り
「もし僕の漫画を誰も読まなくなったら」時々情緒不安定になるこの男は言う。私にそんなこと言ったってどうにもならないのはわかりきっている癖に、私からの賛辞と嘘に塗れた言葉を求めて、月に1度か2度はこうして私に泣きつくのだ。
生きていれば誰でも情緒不安定になることはある。実際私も心が不安定になることもあるだけれど、そんな時いつも私を言葉で嬲り、じっとりと追い詰めるように責め立てるこの男だけは、心が不安定になることだけは許せないのだ。
いつも私を責め立てる癖に。本当はこんな行為屈辱でしかない癖に、周りにこんな弱りきった姿を見せたくないが為に私を頼っている。そんなお前が私は大嫌いだ。私の性格を分かっていてこんなことをするお前は狡くて取るに足らない男だ。でも
「お前の漫画を読むやつなんているわけねぇだろ」
そう言ってやった時の馬鹿みたいな顔だけは、好き。
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