* IF日本の大学


同級生で、同じ高校出身。おまけにスタンド使いっていう共通点から空条くんとの接点は幾つもあったし、彼を通し大学に入学2年目にしてSPW財団の内定も貰った様なもので、空条くんには恩と憧れがあって、そんな私が空条くんを好きになるのに時間は然程かからなかった。

お洒落に興味はあるものの、恋愛事に関して遅い思春期と言うべきか、今迄どの男性にも興味を示さなかった私は内心嬉しかったしそれとは裏腹に彼を好いている女性も多くいたからいつ、どの女性と付き合うのか心配もしていたのだけれど、彼は煩い女性は好きではないと知っていたし、彼のタイプは黒髪の日本人だという噂が流れていたものだから、気を抜いていた。

そんな時、空条くんから電話があった。嫌な予感はしたものの電話を取ると彼は静かな声で言った。“アメリカ人留学生の女性と付き合っている”と。彼女の事はよく知っていた。よく私と空条くんとよくつるんでいた。共通の友人だった。噂というものは当てにならない。彼女はイタリア系アメリカ人でゲルマン系民族特有の顔立ち。至極綺麗で、性格さえも麗しい人間。私とは天と地程の差があった。それが大学四年生の、卒業が間近に迫っている時期だった。彼と彼女は私の事を良い友人だと思っていたようで、自分達の関係も最初に私に言ってくれたみたいだった。

当たり前の事。私は失恋をしたのだけれど、悲しい事に特に何かの気持ちも湧かず、只々事実を受け止め、理解する事しかできなかった。私はそこまで空条くんを好きではなかったらしい。よく「好きな人を好きでいる自分が好きなのだ」という言葉を聞いた事があるがまさしくその通りで、私は自己愛の為に空条くんを利用した様な気がして、それがとても嫌だった。

あれから5年。私は大学を卒業した後SPW財団で働いている。偶にスタンド使いの事に関して寝る間も惜しみ財団で働かざるを得なくなる時があるが、何より給料が良いし、仕事を詰めておいた方が自分の頭を空っぽに出来るみたいで好きだった。最早仕事が恋人。29歳にて恋人も居ず、独身を貫いている。

しかし、あれからずっと会っていない空条くんの事をふと、思い出す事がある。空条くんはどんな顔、声色で彼女を誘うのだろうか。そして彼女はどんな顔をして彼の寵愛を受け入れるのか。そんな疑問を脳内で考えながら、私は今日もデスクに置かれた大量の書類を手に取った。


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