開かれた謎の部屋(4)



「ごめんね、リン。行くって言い張って、止められなかったんだ」


「いえ、別に気にしてませんよ。というか、なぜディゴリーが謝るんですか? この人の保護者なんですか?」


「え、なんか『この人』扱いされた。友達なのに」


「うーん……友達だけど、最近は保護者に近くなってきてるかな」


「おい、俺を子供みたいに扱うなよ」


「大変ですね。お疲れ様です」


「え、あ……ありがとう」


「なんなのこいつら。無視してくるんだけど。なにこれ、俺、虐められてるのか? なあ、どう思う?」



 ぶつぶつ言って、エドガーは、隣にいたアーニーに絡み始めた。アーニーが驚いて、しどろもどろになる。



「え、えっと……」


「な、あいつらひどくないか? 正直に言ってくれていいぜ。ひどいよな?」


「リンが正しいと思います。」


「自信満々に言い切ったな、おい」



 アーニーに代わったつもりなのか、ジャスティンがコメントを返した。本当に正直すぎる感想である。彼らしいと言えば、彼らしいが(ベティが、ジャスティンの態度に激昂したが、スーザンに宥められた)。


 実に不服そうな顔をして、エドガーは、リンの頭に腕を乗せた。さらに、その上にあごも乗せる。重い。リンは彼を払いのけた。




 結局、いろいろあったが、エドガーは帰ろうとせず、リンが折れることとなった。本当に面倒な先輩である。リンは、心中で毒づいた。



「……話してる間は、邪魔しないでくださいね」



 前置きをすると、全員が頷いた。それを確認して、リンは静かに語り出した。



「 ――― 正確な年号は不明だが、今を去ること一千年……当時の最も偉大なる四人の魔女と魔法使いの手によって、このホグワーツ魔法魔術学校は創設された」



 まるで本を朗読しているかのように、淡々と流れる話し方だと、スイは思った。



「四つの学寮は、彼らの名前にちなんで名付けられた……ゴドリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクロー、そしてサラザール・スリザリン。彼らは、マグルの目の届かぬこの地に、共にこの城を築いた」



 リンは、さらに記憶を辿ることに集中するためにか、目を閉じた。



「 ――― 数年の間、創設者たちは協調的で、魔力を示した若者たちを探し出しては、この城に誘って教育を施した。しかし、やがて四人の意見に相違が生まれ始めた……スリザリンは、選別された者 ――― つまり、純粋な魔法族の家系にのみ、教育を与えるべきだと説いた。マグルの親を持つ者には学ぶ資格がないと考え、その者たちを入学させることを嫌ったのである。彼とグリフィンドールが激しい論争を繰り広げ、ついにスリザリンが学校を去った」



→ (5)


[*back] | [go#]