敵意が解ける .2



「ハリー、私も謝罪するわね。あなたが被害者だと分かってたのに、あまり話しかけられなくて、ごめんなさい」

「そんなに謝らなくていいよ……君たちが怒るのも当然だったし」

 スーザンからの謝罪まで受け、ハリーが言った。アーニーたちが目を丸くする。

「でも、ハリー、僕たち、」

「いいんだ。また仲良くしてくれれば、それで十分だから」

 きっぱり言うハリーに、ハーマイオニーが「まったく、お人好しなんだから」とぶつくさ言う。スーザンも「本当……ちょっと心配ね」と口元に手を当てた。

「遠慮せず、もっと怒鳴りつけて当たり散らしてもいいのよ? アーニー相手になら殴りかかってもかまわないし」

「えっ?!」

 首を傾げて平然と言うスーザンに、アーニーが目を剥いた。ハリーたちも思わずスーザンを見る。ショックを受けているアーニーに、彼女は「あら、アーニーは男だから、問題ないでしょう?」と微笑んでいた。

「言っておくけど、私だってイライラしてたのよ? スリザリン生に乗せられて品のないバッジをつけたり、ハリーに話しかけるリンに文句を言ったり、私を拘束したりと、あんまりバカなことをあなたたちがするものだから」

 ふうと溜め息をつくスーザンに、ベティたちが縮こまった。口々に「あれは……」とゴニョゴニョし出すが、スーザンに「言い訳なら聞きたくないわ」と突っぱねられる。

 その様子を見てハリーは、このグループではスーザンが二番目に強いのかと思った。一番はもちろんリンである。

「あなたたちは寛大なハリーにもっと感謝すべきよ。とくにベティ、あなたの言動が一番ひどかったけど、その自覚はあるの? さっきもふざけた謝罪をして……いつもそう。誠実さに欠けてるのよ。私が何度言っても態度を改めないんだから」

「こ、今回はほんとに悪かったって思ってるわよ」

「だったらどうして、」

「そろそろ食べ始めたら? 遅刻するよ」

 くどくど説教するスーザンにベティがたじろいだとき、突然、通りがかりのリンが割って入った。全員が固まる。

「私は先に行くよ。図書館に寄りたいから」

 ハンナたちに言い置いて、リンは歩き去る。彼女の肩の上に乗っているスイが「やれやれ」と言わんばかりに首を振って尻尾を揺らし、ジャスティンが「リン、僕もご一緒します!」と追いかけていく。

 その少しあとに「あ! リン姉さん!」「おはようございますー」という声が聞こえ、「え! だれですか、この人!」「リン姉さんの恋人さんですかぁ」などと続き、なんとなく騒がしくなる。

「……空気読めよ!」

 数秒の沈黙のあと、ロンがツッコミを入れ、みんなが同意した。


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なんとなく収拾つかなくなったので、空気ぶち壊してもらいました。無理やりで申し訳ない。





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