組分け帽子(1)



「マクゴナガル教授、イッチ(一)年生の皆さんです」


「ご苦労様、ハグリッド。ここからは私が預かりましょう」


 エメラルド色のローブを着た背の高い黒髪の魔女がキビキビと言い、扉を大きく開けた。生徒たちは彼女について石畳のホールを横切っていき、小さな空き部屋に入った。


 マクゴナガル先生は簡単に挨拶をしたあと、寮の組分けについて言及し、生徒たちに待機の指示を出し、部屋から出ていった。ハリーはゴクリと生唾を飲み込んだ。


「いったいどうやって寮を決めるんだろう」


「試験のようなものだと思う。すごく痛いってフレッドが言ってたけど、きっと冗談だ」


 ロンの言葉に、ハリーは眩暈がした。試験だなんて、どうしよう。不安げにあたりを見回してみると、他の生徒も怖がっているようだった。


 ハリーがなるべく組分けについて考えないようにしていると、突然不思議なことが起こった。ハリーは驚いて三十センチも宙に飛び上がってしまったし、ハリーの後ろにいた生徒たちは悲鳴を上げた。


「いったい……?」


 ハリーは息をのんだ。後ろの壁からゴーストが二十人くらい現れたのだ。真珠のように白く、少し透き通っている。


 みんな一年生の方には見向きもせず、何か話し合っているようだったが、そのうちの一人が、急に一年生たちに気づいて声をかけた。


「君たち、ここで何してるんだい」


「新入生じゃろう。これから組分けされるところか?」


 太った小柄な修道士らしいゴーストが、一年生に微笑みかけた。みんな黙っていたが、二、三人は頷いた。


「さあ、行きますよ」


 マクゴナガル先生が戻ってきた。足が鉛になったように重く感じたが、ハリーは列に並んで先生についていった。


 大広間にはたくさんの生徒がいた。ハリーは、好奇心に満ちた視線から逃れるように、天井を見上げた。


 しかし、マクゴナガル先生が一年生の前に帽子を置いたので、意識をそちらに向ける。じっと見ていると、帽子が、なんと歌い出した。


 ハリーは呆然と歌を聞いていた。歌が終わると、広間にいた全員が拍手喝采をした。四つのテーブルにそれぞれお辞儀して、帽子は再び静かになった。


「僕たちはただ帽子を被ればいいんだ!」


 ロンがハリーに囁いたので、ハリーは弱々しく微笑んだ。


→ (2)


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