原作一年前の獅子寮・クィディッチ・チームの話。
 主に、前任キャプテン(♀)とオリバー・ウッドの話。
 おそらく、書くとしても短編。


 原作 1 巻における、リーの「アリシアが去年まで補欠だった」発言や、ハリーが入る前まで獅子寮チームがクィディッチ優勝杯から遠かったという設定から、ぱっと閃いた。

 チェイサー兼キャプテンの主人公が、ウッドと騒ぐ話。訂正。騒ぐのはウッドと周りだけ。主人公は至って静か。静かに周りを振り回す。


 「スポーツは楽しむもの。楽しければ、勝敗は気にしなくていい」なんていう考えのキャプテンに、ぜひとも優勝杯を手にしたいウッドがやきもきする。

 「僕は、あの優勝杯に我がグリフィンドールの名を刻みたいんです! それがどれほどの栄誉か、分かってないんですか?!」「うーん、私、栄誉とか興味ないからなあ」「……?!」って感じの会話がなされてるとおもしろい。で、それを周りのメンバーが「またやってるよ」って生温かい目で見守ってるといい。

 ちょっとした暴君というか、職権をフルに使ってくるような主人公だとおもしろそう。あのウッドが振り回される感じの人。


 以下、試し書き。

▽ ▽


「キャプテンッ!」


「おや、どうしたんだい、ウッド」



 バタバタと足音荒く駆け寄ってきた後輩を見て、**は口元に緩く曲線を描いた。猫のように目を細めて、目の前で急停止したオリバー・ウッドを見つめる。ウッドは、キッとまっすぐに**を見た。



「シーカーを替えましょう! 替えてください!」


「理由は?」


「あの人がシーカーでは、僕たちは勝つことができません!」


「えー? べつにいいじゃないか。楽しければ、勝てなくとも」


「楽しくても、勝てなければダメでしょう!!!」



 軽い調子で笑う**に、ウッドが叫んだ。目をカッと見開いた彼の姿には、なかなか鬼気迫るものがあった。残念ながら、その熱意は**には届かないのだが。



「マクゴナガルと同じことを言うなあ」


「言いますとも! 僕は、あの優勝杯に、ぜひとも我がグリフィンドールの名を刻みたいんです! キャプテン、分かってますか? それがどんなにすばらしい栄誉か!」


「私、栄誉とか興味ない」



 しれっと、きっぱりと言う**に、ウッドは愕然とした。信じられない。どうしてこんな人がキャプテンという役職に就いているのか……まったく解せない。いや、もう一人の七年生(話題にあがったシーカー)よりはリーダー性があるとは思うが。



「それより、ウッド、今日の練習に遅れないよう、メンバーに伝えておいてくれ」


「自分で言ったらどうですか」


「この広い校内を駆け回れと? かよわい女子に重労働を強いるなんて、君は冷酷非道だね」


「女子? 誰のことですか」


「今日の練習時間、君はひたすら雑草除去でもしているがいいよ」


「嘘です冗談ですごめんなさい箒に乗せてください」



 すぐさま平伏して謝罪するウッドに、**は「それじゃあよろしく頼むよ」と笑い、さっさと歩いていった。







「職権乱用じゃないか?!!」


「オリバー、そんな風に扱ったら壊れるわよ」



 バン! 荒々しくロッカーのドアを閉めたウッドに、女子更衣室から出てきたアンジェリーナが注意を飛ばした。それを無視してブツブツぼやくウッドに、アリシアが笑う。



「私は**が好きよ? 補欠の私にも、レギュラー・メンバーと同じ内容の練習をさせてくれるもの」


「悪戯を許す寛容さとユーモアのセンスもあるしな」


「俺たちの見分けは未だにつかないみたいだけど」



 色違いの鉢巻をつけながら、双子のウィーズリーが言った。今日は、黒がフレッドで白がジョージらしい。といっても、**は「黒のウィーズリー」「白のウィーズリー」と呼ぶので、どちらがどちらかは関係ない。ひどいときは「黒」「白」だ。彼女は、名前が何たるものか分かっていない。


 リーダーとして、それでいいのか……悶々と考えているうちに、**が更衣室に顔を出した。



「着替え終わったなら、柔軟体操をしておけよ。怠って阿呆らしい怪我したら、試合に出さないからな」



 まあ、怪我しないと絶対の自信があるなら、怠ってもいいけど。呟いた**に、何人かが心の中で「いいのか」とツッコミを入れた。ウッドはつい口に出し、**から「今日は特別きつくしごいてやるよ」という宣言を食らった。



「……横暴だ」


「女帝だからな」



 むっつり呟いたウッドの肩を、ニヤニヤしたフレッドがポンと叩いた。



△ △

 ここで力尽きた。というか、ちょっと方向性を見失った。


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