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「よーし、じゃあ薬草摘みがんばるぞー、おー」

「おー……あれ?」

「イツルちゃん、ほんといい子」

「カカシ、イツルから離れろ」

 棒読みながらも、ゆるーくだけど手を上げたのに、イツルちゃん以外みんなノッてくれなかった。周りの無反応に首をかしげるイツルちゃんの頭を撫でようとした手はアスマにたたき落とされた。ひどい所業だと思う。「大丈夫ですか?」って首をかしげたイツルちゃんに癒されてたら蹴られた。

「オレは先に行くぞ」

「サスケく〜ん、私も一緒に行く〜!」

「イノブタは帰って! サスケ君、同じ班だし私が!」

「サクラちゃん、オレが手伝うってばよ!」

 チームうるさいが森の奥に消えていった。チームのんびりが顔を見合わせて「私たちも行こっか?」「うん」「めんどくせー」とゆっくり森に入っていく。温度差がすごい。苦笑しながら「気をつけてねー」と手を振ってみたら、イツルちゃんが振り向いて瞬きしたあと手を振り返してくれた。

「……冗談抜きで聞くけど、イツルちゃんいい子すぎて心配じゃない?」

「心配だから、変な虫がつかないように警戒してんだよ」

「ねえなんでそんな憎々しげな目でオレ見んの?」

「……おまえこそなんでイツルのことそんな気にしてんだよ」

「ウチの班員かわいげないからさ、癒しがほしくって」

 基本的に素直で聞き分けがよくて、でもマイペースで、たまにズレてて、それでも根本にはブレない芯が感じられる。見てておもしろいし楽しいし、単純に好感をもつ。デショ?と首をかしげてみたら、アスマはタバコの煙とため息を吐き出した。

「ふつうの内容なのに、おまえが言うと怪しく聞こえるのはなんでだろうな……」

「おまえオレのことなんだと思ってるの」

 視線をそらされた。

**

 いのとケンカしてるうちに、イツルたちが追いついてきて、呆れ顔で任務中だと諌められた。正論に何も言えずに、黙って薬草摘みに専念する。隣のいののカゴを確認すれば、さすがというべきか順調だった。相変わらず草花には強いわね。

 対抗心を燃やしてたら、薬草をくわえた白銀が目の前を通り過ぎた。なんとなく目で追うと、ダレてるシカマルのカゴに薬草を落としてた。それからまた草むらに入っていって、薬草をくわえて戻ってきて、今度はチョウジのカゴに入れてた。何それズルい。とっさにイツルを見たら、イツルのカゴはすでに満杯だった。早い。ガン見してたら目が合った。

「勝負切り上げたなら手伝おうか?」

「……勝負?」

「いのとサクラ、ナルトとサスケで、どっちが早いか競ってるでしょ」

 無言で火花を散らしてる私たちに気づいてたらしい。アハハーと空笑いをして、さりげなくサスケ君を見る。ナルトとカゴを確認し合ってから顔を背けてた。わー同じことしてる。

「みんな自分磨きの意識高いね」

 楽しそうに笑って、イツルは雑草と薬草の判断で苦戦しているチョウジに助け舟を出した。ついでに空を眺めてるシカマルを軽く叱咤。チョウジがホッと笑顔になって、シカマルがのそのそ動き始めた。

(……相変わらず、すごいなあ……)

 むずかしいこと・たいへんなことを、サクッとやってのける。ふわふわして見えるけど、実は誰よりみんなを引っぱるのが上手い。引っぱるっていうか、どっちかっていうと背中を押すって感じだけど。どうあれ、きちんとみんなをまとめられる子だ。

 かわいい。頭もいい。家柄もいい。実力もある。性格もいい。いのみたいにグループの華やかなリーダーってわけじゃないけど、周りとは雰囲気が違うっていうか。なんていうか分からない。

「……白銀、今日はカエルとかヘビとか狩ってこなくていいから」

 ―――たまにズレてるっていうか、女子らしくないっていうか、変なとこあるけど。でも、いい子には違いない。

 白銀から受け取った(信じられないことに素手で)死骸をそっと地面に置くイツルを見て鳥肌が立った腕を擦りながら、思考をまとめた。

**

「ナルト、それ毒草だよ」

 困ったように笑いながら、イツルちゃんがオレの手から草を取った。手の上に乗せて広げて、草の表面を指さす。

「ほら、葉脈……葉の模様が違うでしょ?」

「んー……あ、ほんとだってばよ!」

「雑草は百歩譲れるけど毒草はまずいから、お互い気をつけよう」

 イツルちゃんは優しい。いまのは、ほかの女の子だったら、怒られるかバカって呆れられるかどっちかだったってば。けどイツルちゃんは、ほかのやつらが怒ることでもあんまり怒らない。「魔王様はカンダイだから」って山吹が言ってたな、そういや。

「イツルちゃん、カンダイって何か知ってる?」

「わー、ナルトが言葉の意味に興味を示すなんて珍しい。帰ったらイルカ先生と辞書を引くといいよ。ナルトが国語の勉強をする気になって、先生きっと喜ぶよ」

「勉強はムリだってばよ! ちょっと気になっただけだから!」

「ささいな好奇心が大いなる探究のきっかけになるんだよ」

「勉強はほんっとムリ!!!」

 手をブンブン振りながら叫ぶ。イツルちゃんは楽しそうに笑ってた。……かわいいし頭いいし優しいけど、たぶんいい意味でほんのちょっとだけイジワル。けど、そこがイツルちゃんのいいところだと思う。山吹も「魔王様は、興味ないひとは礼儀正しくスルーする」って言ってたし。あれ、そういえばなんで「魔王様」「将軍」って呼んでるんだろ? いつも聞き忘れるってばよ……まあいっか。今度聞こっと。

**

 ナルトと楽しそうに笑ってるイツルを横目に見て、フンと顔を背ける。あんな落ちこぼれの相手して何が楽しいのか謎だ。……いまに始まったことじゃないが。シカマルやチョウジともよくつるんでる。

 家柄がいい。才能も実力もある。ついでに見た目もいい。つるむ相手を選べる立場だと思う。いっそ一匹狼でも不思議じゃない。それなのに……謎だ。木ノ葉では山吹と最初に仲良くなったとか言ってたから、その影響なのかもしれない。まあ興味ないが。

「サスケ、それ毒草」

「……駆除してただけだ、ウスラトンカチ」

 振り返らないまま言葉を返す。「駆除って」とイツルが笑う声が聞こえた。うるさい、ちょっと考え事してたせいで間違えただけだ。シャクだからぜったい言わないが。毒草を放り捨てて、今度はちゃんと薬草を摘む。カゴはもうすぐ満杯だ。

 蛇を見つけたらしいサクラといのが叫ぶ声がした。振り返って、またすぐ顔の向きを戻す。イツルがソッコーでつかまえて、蛇相手に何やら言い含めて遠くに放してた。蛇相手に言葉通じんのか?という疑問はこの際置いておく。

 あいつそのものが謎だ。


****
 基本的にみんな好意的。唯一サスケは中立的で、好きでもキライでもない。
 ナルトとサスケのターンが短いのは仕様。ナルトはごちゃごちゃ考えないし、サスケは結局一線を引いてるから、深く考えない。



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