kiss mark《沖土》


 

「土方さん。首筋にキスマーク付いてますぜィ」


 刀の手入れをしていた時、そばにいた総悟からポツリと言われた。さっきからジロジロと俺のこと見てんな、とは思っていたが、まさかキスマークを見られていたなんて思いもしなかった。


「なっ……」


 バッと首筋を押さえ、部屋から飛び出す。





【kiss mark】





 向かった先は、厠。息を切らしながら鏡を見ると、そこにはくっきりと赤いキスマークが付いていた。

 ど……どうする……。絆創膏貼るか?いや、だがそれは逆にツッコまれる。……昨夜、万事屋とヤった時……か?いつもは目立たねぇとこに付けんのに。なんでまた……。いや、俺が虐めすぎたからわざとか?それなら、俺の自業自得だからしょうがねぇ。
 一番厄介なのは総悟に見られてしまったことだ。あいつのことだ、絶対に真選組内に知れ渡っているに違いねぇ。真選組の奴らに俺と万事屋の関係がバレたら何て言われるか……。

 そんなことを鏡の前で悶々と考えていると、ガチャリ、と誰かが戸を開けた。振り返って戸の方を見ると、思わずゲッと声が漏れる。そこにいたのは今、最も会いたくない奴だった。


「ゲッて何ですかィ?失礼極まりないですぜィ」


 ニヤニヤしながら入って来た総悟は、俺の目の前で止まり、口の端を上げて笑う。


「何だよ」

「今までは目立たないとこに付けて来てたんですけどねィ」

「なっ……何で知って」

「何ででしょうねぇ」


 ずいっと顔を俺に近づけて言う。


「何…!!?」


 グイッと手首を掴まれ壁に押し付けられた。そしてキスされた。


「ん…んン……はな、せ」


 睨みつけながら言うも、総悟は動じない。それどころか、もっと強くキスをされる。それもディープキス。


「はっんンぁ……はぁ、止め…ろ!」


 酸素不足で苦しい。何で俺は……こいつにキスされてんだよ……。
 やっと唇を離された頃には俺は少し息が上がっていた。どれくらいの時間がたったのかわからないが、俺にはすげぇ長い時間に思えた。


「総悟ってめぇ何様のつもりだ!!」


「何様のつもりって……俺様のつもりですぜィ」


 ペロリと唇を舐めて言う。本当にこいつはいつでも俺様主義な奴だ。しかもよくつかめない奴で、何を考えてんのか全然わかんねぇ。こいつ、俺にキスなんかしやがって何がしたいんだ?

「土方さん、今こいつ、俺にキスなんかしやがって何がしたいんだ?とか思ってますかィ?」


「!!!」


 何でこいつは俺が思ったことがわかんだよ……。何つーか、俺は何にもわかんねぇのに、相手に俺のことは知られてるっつーのは……胸くそ悪ィ。


「そんな睨まないで下せぇ」

「なら手、離せよ」


 グッと、総悟に押さえられてる手に力を込める。が、ビクともしない。総悟はクスリと笑うと、押さえている俺の手首をひとまとめにし、片手で押さえる。


「それは聞けないお願いでさぁ。なんせ離しちまったら最後、土方さんの拳が飛んできまさぁ」

「当たり前だ!」

「そんなことより……」


 じっと総悟は俺を見つめた。


「何だよ……」


 恐る恐る言ってみる。


「土方さんが旦那と付き合ってることは真選組の奴らに知られちゃ不味いんですよねィ?」


 悪い……予感がした。冷や汗が頬をなぞる。


「だから何だっつーんだよ。わかってんなら絶っ対ぇ言うんじゃねぇぞっ」


 怒鳴ってはみるものの、それは自分の精一杯の強がりでしかなかった。


「それは土方さん次第でさぁ」


 そう言ったと同時に、戸の外で野郎共が厠に入って来ようと騒いでいた。こんな状況を見られるのは流石にヤバいと思ったのか、総悟はぐいっと俺を引っ張り、個室へと押し込んだ。勿論総悟も一緒に入る。


「静かにして下せィ」


 総悟は、俺を押さえてる手とは反対の手で俺の口を塞ぐ。個室の中は狭く、体を密着させなければならない。そのせいか、総悟の顔が目の前にある。よく見ると、綺麗な整った顔をしている。S王子じゃなけりゃモテるんだろうな、と思う。
 いや、実際真選組の中でもこいつを狙っている奴はいる。黙ってっと見とれる位なんだがな……。だが、なんで俺はこいつに押さえられる形で厠の個室に入ってんだ?


「行ったみたいでさぁ」


 が、総悟は個室から出ないのか、俺の両手首を片手で押さえたままだ。それどころか、自分の足を俺の足の間に入れられ、閉じられなくされた……。
 これってまさか……。いや、総悟が、な。俺男だし?いや、俺は銀時とヤッてるけどよ……。絶対ねぇ!ねぇんだよ!!だが、そんな考えも虚しく、総悟は服の上から俺の陰部に触れてきた。


「!!?なっおまっ止めろっ」


 それでも触れてくる。最初はやわやわと揉み、それからだんだんと強く揉んで来やがる。俺のモノはそれにつれて硬くなるばかり。


「土方さん、感じてるんですかィ?俺に触れられて……」


 薄く笑いながら総悟は聞いて来るも、俺には応えることが出来なかった。もう総悟の手は揉む、というより扱く、といった方がいい位強く上下にされた。感じたくない。銀時以外の野郎にイカされるのは嫌だ。そう思うも、俺のモノはだんだんと硬く、反り返っていくばかり。しかも先走りが出ているのか、自身の周りの服はぐしょぐしょになっている。


「っ……ぅぁっ……」


 必死に漏れる声を抑えようとするが、総悟の手によって与えられる快楽に、込めようとする力も緩んでいく。


「土方さん、バラされたくなければ……」


 ぐっと反り返っている俺のモノに、服の上から尿道口に爪を立てた。


「ぅあっ…っ…あぁ……ぁあぁ、あ…っ!…」


 その衝撃に絶えられず、達してしまった。だが達したばかりにも関わらず、総悟はまた俺のモノに触れてくる。


「……っぁ……」

「バラされたくなければ、俺を奉仕して下せェ」


 一瞬、総悟が何を言っているのかが理解できなかった。
 ……奉仕?俺が……総悟に?


「は…ぁ…?」


 まさか……。総悟はシュルッと俺のスカーフをとると、俺の両手首を背中に回され、そのスカーフで簡単に縛られてしまった。


「……っ!!」

「ちゃんと奉仕しないと……バラしますから」


 カチャリ、と総悟は自分のベルトに手をかける。俺は今から起こることから逃げたいと思いも、ドアは総悟が居て塞がってるし、壁を乗り越えようにも腕を縛られてるから無理だし……。
 どうすりゃいいんだよ……。
 冷や汗が流れる。本当に…本当かよ……。俺が奉仕って…いやいやいや、マジ無理だって!!銀時にさえあんましてやったことねぇのに……。


「…い、やだ」

「俺の言うこと聞けないのなら……」





――――――――――
―――――――
――――





 クチュ…クプッという淫らな音が厠に響く中、俺は一生懸命に総悟のモノを舐めあげていた。厠はさっきね野郎共意外に誰も来ていない。なんせ、今いる厠は屯所にある中でも一番隅の方にあり、ここの厠が有ることを知っている奴の方が少ないと言える程の厠にいるわけなのだから。


「ん……くっ…」


 苦しい。が、俺は口の中に含まれている総悟のモノを舐めあげる。


「んンン……ふぅ…っ」


 口の中で総悟のモノがだんだんと大きくなっていくのが分かる。俺の口の端からは、自分の唾液と総悟の先走りが混じり合ったものが流れ出していく。それが気管など、変なとこに入っているが、口は総悟のモノで塞がっていてむせることすら出来ない。それが余計に辛く、息苦しい。
 体制も膝立ちしているせいでキツいし、頭は総悟によって髪を引っ張られて無理矢理顔を上げさせられている状態になっている。腹にも力を入れていなけりゃいけねぇけど……正直力を入れきれねぇ。


「土方さん……上手いっすね。……いつも万事屋の旦那にしてあげてんですかィ?」


 んなわけねぇだろ!!など言ってやりたかったが、今の俺じゃそれを言うことすらままならない。口を塞がれているから、というものもあるが、それよりも、俺の限界も近いから、という方が強いかもしれない。


「ちゃーんと集中して下せェ」

「!!?」


 グッと押さえられている頭を引き寄せられる。喉の奥まで先走りの苦い味が口の中に充満する。その苦しさに息を吸い込もうとするが出来る筈もなく、かわりに総悟のモノを思いっきり吸い上げてしまった。


「くっ……ぅ…」


 総悟が呻いたと思った瞬間、口の中に生暖かく、青臭い味と臭いが広がる。総悟は出し終わった後も、余韻に浸っているのか一向に俺の口の中から出そうとしない。
 こんなもん食いちぎってやりたい気分だが、今の俺にはそんな気力はない。総悟がやっと引き抜いたのは、自分の息を調えてからだった。俺の口に注がれた精液を吐き出そうとしたら――……


「何出そうとしてんですか…」


 そう言われたと思ったら、口と鼻を塞がれてしまった。


「っ!!?」


 飲み込め、と言うことなのだろう。時間がたつにつれ、苦しさも増してくる。が、総悟は塞ぐのを止めない。
 俺には飲み込むしか手はないっつーのかよ。……仕方ない。
 口の中にある青臭いのを勢いよく飲み込む。飲み込んだのを確認した総悟はやっと手を離してくれた。


「ゲホッゲホゲホッ…っおい!!?」


 一気に流れ込んできた酸素にむせたのもつかの間、総悟は俺のモノへと手を伸ばした。


「我慢し過ぎて辛いんですかィ?」


 さっき総悟がお仕置きとか言って尿道に差し込まれた……カテーテル。それが俺のモノにずぶりと刺さっている。

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