A


 




【いつもは言えないけど…】





 ふと目が覚めると目の前には白くてキメの細かい綺麗な顔があった。俺の腕を枕にして眠る、俺の恋人。


「銀時…」


 なんてこんな万事屋が起きていない時にしか名前なんて恥ずかしくて呼んでやらないけど…。
 くるくると巻いた銀色に輝く髪の毛を弄りながら何回か囁いていると、万事屋が身動ぎをした。
 やば…起きたか…?


「ん、んー」


 咄嗟に目を閉じて寝たフリをする。


「!!っ…」


 寝たフリの俺に気付いていないのか、銀時は目の前にあった俺の顔に驚いたらしく、息を詰めたのが分かった。


「…寝てん…だよ、な?」


 ポツリと零す万事屋は俺の顔を覗き込んでいるようだ。起きようとも思った。だけど俺より先に起きることなんて滅多に無い万事屋の反応を見てみたくて、このまま寝たフリを続けた。


「………」


 万事屋は何かを考えているようで、視線が俺から外れない。


「愛してるぜ。土方」


 !!?
 こ、こいつ、今… キスしやがった…。
 俺が寝てるとこんなことするのかよ…。こいつの前で寝るのが惜しくなってくるじゃねぇか。
 いつもはこんなこと言わねぇししないくせに…!


 あぁくそっ!!





 こいつマジでツンデレじゃねぇか!





実は起きていたっていうオチでした。
しかもこのことがあって以来土方はよく銀時の前で寝たフリをするようになったとかなんとか…。






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