きらきら光って、晴れた空の隙間から雨粒が舞い落ちる。
あぁ、このままだと虹出るかも。
そんな事を思いながら、結界の天井に、ぱたたと音を立てている水滴をちょっと睨む。
あぁ、その前にこのままだと俺、帰れねぇんじゃないの?
意を決し一気に結界を解くと、ざっと頭上に水溜りが落ちてくる感覚に見舞われる。
「…あぁ、くっそ、めんどくせー!」
「やだ、雨降ってきちゃった。」
傘なんてもってきてない。
だって今日は雨が降らないはずだったから。
「…もう……。」
ここらへんの通りはなんとなく古風な、昔からの作りの家が多くて、ちょっと屋根が付いているようなお家もたくさんある。
だからあたしは何の迷いもなく足を止め、雨避けの下に入った。
空がきらきらとまぶしくて、雨は結構激しく降り注ぐ。
太陽の隙間にははじけるように輝く青色。
お天気雨なんて言うもので、世間一般では「狐の嫁入り」なんて言われてる。
縁起がいいのだろうか。
でも、そんな言い伝えをなくしても、この雨はなんとなく気持ちを落ち着かせてくれる。
そんな気がする。
腰に伸びた髪の水滴を軽く払って、あたしは空を見上げる。
なんだか気持ちがやわらかくなって、静かに呼吸ができる。
途端、脇からぱしゃりと、水を弾く音がした。
「…」
「…」
雨避けに、静かにもぐりこんでくる中学生。
髪は垂れ下がり、顔がよく見えない。
顎のラインから水が滴るのを見て、あたしはなんとなく、バッグからタオルを出して、彼に渡した。
「…風邪、ひくわよ。」
「……、さんきゅ…」
景色がいつもと違って見える。
きらきら輝くこの世界で、
あたしはこうしてまどろんで、
隣にはあいつがいて、
なんとなく、あたしは笑みをこぼした。
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