「冷たい。」

「なんですいきなり。アイスでもこぼしましたか?」

「そんなにドジじゃない。」


多少なりとも眉をひそめてみるけれど、きっとなんの効果ももたないだろう。そんなことはとっくに知ってた。

目の前でパソコンのディスプレイに向き合うパイナップル頭は、たぶん暗いブルーのプラスチックフレームを眼前にかかげているんだ。

久しぶりの再会場所がネットカフェで、しかもヤツはパソコンに向き合いっぱなしでこちらを見ようともしない。


「冷たいなぁ。」

「だからなんですってば。」

「メガネなんかかけちゃってさ。よけい冷たく見えるよ。」

「僕のことですか?寝言は寝ていってください。」


はんっと鼻で笑われ、すこしむかついた。
いいよ、一番高いパフェ食ってやる。


「君はいつもボンゴレに優しくしてもらってるでしょう。」

「…えへ。」

「今度ボンゴレ殴っていいですか?」

「許しません。
それよりほんと、なんの用?いいかげん教えてよ。」

「会いたかっただけですよ。」

「ん?」


「会いたかった、だけです。」




骸のくせに、やけに素直なことを言うものだと思った。
レンズごしにこちらをみる瞳の、異色に、すこしぞくりとして横をむいた。



(ところで葵、調べたんですが、この近くにおいしいケーキバイキングがあるそうです。パフェなんか頼まず、行きませんか?)

(…うん。)



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