公園はまだ朝で、俺は不覚にも、ダイナマイトの仕入れから帰ってきたばっかりで、十代目の護衛をすっかりほっぽっちまったから、こうして急いで学校に向かっているわけだけど。

まさかこんな穏やかな朝の公園で、

あの人に会えるだなんて、夢にも思っちゃいなかった。




「あれ、隼人じゃない。」


「あぁ!?誰だよてめーいきなり呼び捨てにしやがって、こちとらいそいでん…っ!」


「つれないねぇ、あたしのためにその足止めな隼人。」


「っす、すみません、葵さん、気が付かなくて、その…!」


「ははっ、良いって、どうせアンタのことだから綱吉のために走ってたってトコだろうしね。」


「は、はぁ…。」




カプチーノの長い髪をさらりと揺らした彼女は、俺と同じハーフだ。
美しいその瞳は、今、俺に向いている。
なんだかちょっと嬉しいんだけども、俺は足を進めた。彼女もソレに付いてくる。




「今から学校?」


「え、ええ、学校です、一応、義務教育なんで。」


「ふぅん、あの悪童と呼ばれる獄寺隼人君が、学校、ねぇ…?」


「あ、ははは…。
…十代目が、いますからね、学校には。
俺は十代目の右腕になりたいんです。
そのためには、頑張るしかないんです。」


「…綱吉が、好きなんだね、隼人は。

良かった!
隼人みたいなファミリーが将来のボンゴレを担うんだと思うと、なんとなく安心するよ。」



にっこりと、笑った瞳は、かぎりなく、かぎりなく優しいそれで、

なんだか、腹の底が、あったかくなった。




「はい!!」






(隼人、夏中はこっちにいるからさ、またこうしていっぱいお話ししたいね、アンタに教わりたい方程式もあるし。)

(そうなんですか、夏中こっちに?
良かった、えぇ、喜んで。
いっぱい話しましょう、十代目も誘って!
ちなみに俺、スパルタっすよ?)

(あはは!)





FIN.

(隼人君は、彼女の事が好きだけど、叶わないととっくの昔に知ってるので、もう割り切ってます。そうだといいな。)

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