「今日も、暑く…暑いですよね、…かな」
ぽちぽちとケータイのボタンをおす。
どきどきとはねあがる心。送信ボタンをおすと、ひときわ大きく。
(アドレスを交換してからちょっとずつメールをしたけれど、まだ慣れない。)
「わっ返信はや…、」
彼は適度に返信がはやい。
早く返してほしいときにはたいてい早くて、決まって嬉しくなる。
絵文字とか顔文字とか、記号とか、あんまり使わない彼だけど、それが逆にくすぐったい。
「えと、…わっ」
(もっとアツくなれるかも。今日、久しぶりにやるんだ。聞きに来てくれますか?)
「もっもちろんですよ、絶対、行きますよ、」
「…楽しそう。」
「わっどくろ!」
授業のあとの、課外のあとの教室。
あたしと髑髏と、そのほかに男の子が数人。
少し大きな声を出してしまったために、けっこう注目されてしまっていた。
「あ、…すっすいません。」
苦く笑うと、いやいやいいですよ、と笑われた。ただし髑髏はちょっと笑った後にふっと鼻で息をはいた。
(わぁぁ絶対、舞い上がってるなぁとか、思われてるんだろうなぁ。)
「行くの?」
「え?」
「…聞きに。」
「あっ、うん。久しぶりにね、やるんだって!」
「そう、」
にこりと笑った髑髏はかわいくて、心がふわりとあったかくなった。
「よかった」
「なに?」
「嬉しそう。」
「…えへへ」
思わず笑う。(あたし、なんだか幸せだなぁ。)
ケータイが震えて、髑髏が笑う。
ばっととると、返信がきていた。
(じゃあ、始まるまでちょっと話そうよ。何時なら大丈夫?)
「…っ!!」
心が、大きくはねあがった。
くらくらと視界がゆれる。
ねぇどうしよう、どうしよう、この気持ちは嘘じゃない!
髑髏が大丈夫?といって、あたしの赤いほっぺを両手ではさんだ。
(ごめんね、ちょっと動揺しています!)