「う、ぁ、」


かくんと膝から力が抜ける。
あれぇぇなんでまさかそんな、ええええ。

(恋い焦がれていた、なんていったら大げさだろうか。)
それでもくらくらするくらいに会いたかった人であって、今日一日を限りなく狂わせた人であって。

そして、ぱちりと放たれたウインクがあたしに向けられたものだとしたら、これは彼の策略であるとしか、考えられない。
(待って、策略はおかしいよ、)

たまたま彼がこの学校の人で、たまたまあたしがここにいて、たまたま気がついて、おぉ、アンタここの学校の後輩だったんですね、っていうだけの話しかも、
しれないが、そうウマい話しがあるものだろうか。
偶然にしてはあまりにも運命的すぎて、目眩がした。


(とにかくあたしがしなくちゃならないのは、今彼と接触することよりも、今日、あの場所に向かうことだ。)






放課後までに、どれだけそわそわしたか知れない。
もしかしたら彼はまだこの学校にいるかもしれないのだ。
(正確には彼ら、らしい。友人が、銀髪と黒髪のすてきすぎる人を見かけたとか言っていたから。きっとそれは、昨日の彼の友人のことに違いない。)

でも結局、放課後をすぎて、あたしがカバンを抱えて正門を出るまで、彼ららしき人影は一切見なかった。



駅の構内、スターバックスで好みのコーヒーのトールを注文して、そのままそこで勉強をした。
いつもならば学校の学習室ですますのだが、どうやらあたしは彼に会いに行く時間を心待ちにしているらしい。

(あと、30分、かな。)

不思議なもので、目標とする楽しみがあると、人間はがんばれるのだという。
まさにあたしはそれにあたるのだろう。
あと30分で絶対数学終わらせる。今決めた。








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