愛されたくないと思った。
それでもたぶん、目で追うのは愛したいからで、愛されたかったんだと、そう思う。
ボールを追う目は真剣で、でもなんでだろうね、沢田くんと、獄寺くんと、一緒にいるようになってから、
彼の瞳はなにか違う所にいっている気がして、
なんとなく、遠いと思った。


「山本、スプレー。」

「おっ、サンキュー葵!」

「ちゃんと冷やしときなよ、さっき足とわき腹にボール当たったろ。」

「…よく見てんのな!」

「見てるさ、そりゃあね。」


先輩は荒れていて、レギュラーの山本にとてもキツく当たる事はよくあった。
度々足にボールをぶつけ、スプレーは欠かせないのだ。
マネージャーというのはなんだか不思議な役割で、彼に間近でスプレーを渡すことができる。

すぐにでも遠くに行ってしまいそうな彼。
野球の上手な彼。
私の恋心は、たぶん一生伝わらないのだと思う。


Easy come,Easy go
(たやすく手に入るものは、たやすくなる。)






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