カミサマの定義ってのはたぶんたくさんあって、キリストさまが唯一のカミサマだと言う人もたくさんいるけれど、そんな中で違う何かを、誰かをカミサマと呼ぶ人だって少なくはない。
彼は笑って、また祈るように拳を振るって、誰に願っているのかは私にはわからなった。
ただその姿が嫌に綺麗で、いつしか私も彼と同じように心の中で誰かに祈りながら、この人が死なないように、仲間が死なないように、大切な人が泣かないですむように、そうやって引き金を引いた。
たぶん彼は自分の中のカミサマに祈って何もかもをこなしていたるんだと思う。
だからあたしもそうやっているわけだけれどどうなんだろう、あたしのカミサマは一体誰なんだろう。
「そうやって、あなたはまた祈るように、」
急ぎ足で過ぎていく生活に嫌気が差した時もあった。
そんな時、流れ星に向かって綺麗に笑うあなたはとても綺麗だった。
愛想笑いなんかじゃない純粋に綺麗な笑みで、彼はいつだって。
本気で思っていた。カミサマはきっとあたしの中にはいなくって、この恐がりなあたしなんかにはついてなんかくれなくて、いつだってまっすぐで綺麗な彼に、全てはついて行くものだと思っていた。
カミサマが誰かなんて、あたしにはまだわからなかったのに。
「…ねぇ、ボス。今ならわかるわ。」
約束する。
引き金を引く時に必ず祈るわ、空に向かって、星に向かって、月に向かって。
今からあたしのカミサマはあなたになるのだと、そう言ってあたしは上を向いた。
カミサマの夢
(だからもう寂しくなんかないわ。)