「悪いことは言わないよ。だからやめときなよ。」

「うるさいなぁ、ってかきょうちゃんウザい!」

「うざ…っ」

「ウザいよ!いいでしょ別に、話しかけるくらい!」

「あいつは猫被ってるんだって何回言わせれば気が済むの、君は!
年配者の言うことはちゃんと聞くことだよ!」

「いっこしかちがわないでしょ変人奇人!
お兄ちゃんなんか嫌い!」」

「(き…っ!)」



私、雲雀葵は、あるミッションを遂行しようと奮闘中です。
ウザ格好良いお兄ちゃん、雲雀恭弥は現在固まったり落ち込んだり、ちょっと忙しそうですので、先に進めます。

ミッション名

「気になる子羊ちゃんにそろっと声をかけてみちゃおう大作戦!!」








私は1ーB生であり、気になるかわいい子羊ちゃんは隣のA組にておそらく受けたくもない授業に耳を傾けているのだと思います。

私は結構気が気でないのですが、深呼吸で乗り切ります。
隣の席の男の子が軽く引いていますが、そんなの私は気にしません。


よし。決めた。


私は、この授業の後、昼休みにあの子を呼び出してみることにしました。






A組前です。
私はやっぱりやめようかと、行ったり来りしています。

け、結構緊張します、はい。

私は恐る恐るドアに近づき、窓からそろりて中を盗み見します。


「…!」


いました、あの子です!
今日はカレーパンをまくまくと頬張ります。
うわぁ、可愛らしいです!


「…あの……」

「あ、はい、なんでしょう!」

「通れないんですけど…」

「うわぁ、大変失礼しました!すいません!」


名も知らぬ男の子から声をかけられ、私は申し訳ない気持ちがわきましたが、それ以前に。


「…あの…、沢田綱吉を、お願いできますか…?」





男子生徒は数人でどよめき、あの子を呼びつつこちらをちらちら見ていました。

でもそんなことより、どうしましょう、呼んでしまいました沢田綱吉くんを!!



お兄ちゃんの言葉が頭をよぎりますが、気にしないことにしました。








「騒がしいね」

「なんかあったのか?」

「知るかよ山本、俺に聞くんじゃねえ!」


クラス内はざわめく。

そんな中、一人の男子生徒がこちらに駆け寄ってきた。








「…誰が呼んでるの…?」

「雲雀先輩の妹だよ、笹川と張るぐらい人気だろ、知っとけよ!!」

「…雲雀先輩の、妹?」




あの人妹なんて居たのか、なんて思いながら、俺は席を立った。
隼人と武がついてこようとしたが、そんなに重要なことではないし、一応女の子が呼んでいるのだから、複数で行くのは失礼だ。

がらりと扉をあけると、胸のあたりになにかがぶつかった。
ちなみに今俺は168cmにまで身長が伸び、育ち盛りの高校一年生だ。

「…ぅわ…」

「え、あ、ごめん!」

「いえ、あの、いいんです、その…!」


目の前には鼻を押さえる女の子。
あぁ、もしかしなくてもこの子が恭弥の妹かな。
目が、まぁこの子のほうが断然大きいけれど、なんとなく似ている感じがする。

にしても、ボンゴレは骸をのぞいてみんな並盛東高にはいったけれど、妹にまでこんな偏差値の高い高校受験させるなんて、あの人、なんてシスコンな男なんだ。


「えーと、雲雀、さん?」

「うわ、はい!
存じてらしたんですか!?」

「さっき聞きました」

微笑むと、恭弥妹は顔を赤くして立ち尽くした。
あれ、恭弥の妹なんだからもっとクールかなと思ったんだけど、そうでもないんだ。
まぁ、兄の顔になるとあの人へたれそうだし、なんとなくわかるかも。


「…お昼、食べました?」

「あ、あの、まだです」

「じゃあ食べようよ、俺もまだ足んないから。」






なんで私は今屋上にいるのでしょう、しかもあの沢田綱吉くんと!






お兄ちゃんお手製のお弁当をぱくりと一口頬張ると、いつも通りに美味しくて、なんだかほっとしました。

でもとなりに沢田くんがいます。
ちょっと心臓がうるさいです。

あぁ、沢田くん、購買のサラダたべてます!
正直、可愛いけれど、なんていうか、かっこいいです!

風が柔らかく吹く度に、沢田くんのススキ色の髪がふわりとゆれます。
そのたびに心臓がはねてしまうのはきっと気のせいではありません!


「雲雀さん、お兄さん元気?」

「え?あ、はい、元気です!」

「そっかぁ、そうだよね、雲雀さんに夕飯作ってあげられるくらいだもんね。」

「は!な、何故それを…」

「蓋に貼ってあるメモ、お兄さんの字じゃない?」


そう言われ、私はようやく、蓋のメモに気がつきます。




今日の夕飯ハンバーグだからね

恭弥




「…!」


私が喜びと羞恥に口をぱくぱくさせると、沢田くんはわらいます。


「ハンバーグ好きなの?」

「う…、だ、大好きです…」

「かわいいなー。」


笑う沢田くん。
今さらっとすごく恥ずかしいことを言いました。


「恭弥の妹さんっていうからには、そうなんだろうね。」

「…え?」




今、沢田くんは、お兄ちゃんのことを、



「葵さんっていうの?
よろしくね、俺、沢田綱吉。」


お兄さんとは昔から仲良くさせてもらってます。





妖しく微笑み、沢田綱吉くんは、私の手の甲に、

キスを、おとしました。




「…っ!」

「上履きの名前、消えかかってるよ。

じゃあまたね、葵さん。」






どうしましょう。
沢田綱吉くんは、意外と危険人物のようです。
お兄ちゃんの言うことの意味が、ちょっとわかりました。


お洒落で女に甘い色男。


そういえば、沢田くん、結構女の子たちの間で人気なんです。
頑張らないといけないみたいです。





fin


おまけ






「可愛い妹さんだね。」
「…だからイヤだったんだよ、君に会わせるの。
ちょっと、妹に手だしたら咬み殺すよ。」

「やれるもんならやってみなよ、お兄ちゃん?」

「死ね。」







「お兄ちゃん、沢田くん、すっごい危険人物だったよ!」

「!でしょう、だからあんな男には、」

「ずっと可愛いって思ってたけど、すごくかっこいいね!
手の甲とかキスされたのはじめてだよ!!」

「(あいつ絶対殺す。)」







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