「何度言ってもわからねぇみたいだな。」
「あぁ、わかりたくもないよ、リボーン。」
「…てめぇ、死ぬか?」
ひゅうと吹きすさぶ冬の風の中で、きっちりとスーツを身にまとったリボーンは吐き捨てるように言う。
目の前で左の頬をおさえるススキ色を冷ややかに見下ろして、ぎりと形の良い唇を噛み締めた。
「わかってんだろうが!お前はどこまでもボンゴレなんだ、ツナ!」
「うるさい!」
「目ぇさましやがれ、沢田綱吉!!」
「黙れ!!」
ぎしりと心が痛くなるくらいに、力強く睨みあげるススキ色。
2人から離れた場所で立ち尽くす私は、思わず固く指を握り込む。
(綱吉、)
最愛の人、もうこれ以上素敵な人には絶対に出会えない。
どんなに反対されても諦めきれない私の大切な人。
(リボーン、)
ボンゴレをよく知りすぎているために、綱吉を誰よりも理解しているために、私をいつだって大切に想ってくれているために、私たちを認めることをしない、優しい人。
風の中、ファミリーが見守る真ん中で睨み合う2人に、胸があつくなる。
「お前はアイツを守りきれんのか、ああ!?」
「守ってみせる!!」
「口先だけじゃ通用しねぇんだよ、ダメツナが!」
「俺は!!」
しゅうと、密度を薄くした冷たい風が首元を抜けて髪が舞い上がった。
襟足の少し伸びたススキ色が揺れて、瞳が強く光って、
「俺は、あいつが、好きなんだ。
好きなんだ好きなんだ好きなんだ、好きなんだよ!!」
こころを、貫いて、しまう。
「っくそが、」
顔を真っ赤にして決まり悪そうに舌打ちをするリボーンを見て、ファミリーがわっと歓声をあげた。
ススキ色に駆け寄る彼らを呆然と見送って、かくりと膝を折った。
(わたしは、)
頬を伝う涙も、沸き上がるファミリーの歓声も、がなるリボーンの怒声も、彼の私を呼ぶ声も、全てがあたたかくて、幸せで、
(わたしは、)
綱吉を、愛してる。
Endless happiness.
(ずっとやりたかった好きなんだ話し。セリフお借りして申し訳ありません。ありがちだけど実際しあわせ。)
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