灯したろうそくの炎の色がいつもに増して濃いと感じた。
目の前が淡くにじんでしまっていけない。
指先の冷たさが、力強く握りこむことによってさらに際立つ。

視線の先にススキ色がさらりと広がっていた。
うまく息が吸い込めなくて、冷たい指先を何度も、何度も握りこんで。
私が今何を考えていたのかということすら、よくわからなくて少し混乱した。

長いまつげに縁取られた瞳は、きっと朝を迎えれば再び私に向かってやわらかく細められることだろう。
薄い唇はもしかしたら、私の名前を呼んでくれるかもしれない。
その細い首をかしげて、おはようと呟くのだ、いつものように。

私がこんなにも渦巻いた気持ちをこうして毎晩押し殺しているとはつゆも知らずに、(純粋に、そして残酷に、)





軽く首を横に振って、息を吸い込んだ。
子どものような寝顔をひたすら、ひたすら愛らしいと思うことで、よこしまな心が奥底へしまわれるのを願う。
そうして私は、にこりと微笑んでからろうそくの炎をふぅと吹き消した。



「おやすみなさい、綱吉さん。」













(閉じた扉の音を聞いてそっと瞳を開く彼の、彼女に対する愛の言葉は誰の耳にも入らず煙にまぎれてしまうのだ。)





ひそかな恋




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