VCE0104




「ねえ、求道女さま」
「どうしたの?」
「思ったんです。神さまって、どんな色をしているのかなあって」
「そうね・・・考えたことないわ」
「赤いのかなあ、あ、でも人間も血は赤いけれど、肌色だもんなあ」
「ふふ、どうしてそう思うの?気になるわ」
「私、覚えたんですよ。求道女さまに借りた聖典の、末世過乱ノ事。・・・末世には、地鳴り、台風、豪雨、虫などの自然の猛威による被害と、人々の心の乱れが長く変わりなく也。又、今も昔もひとつとなり、すべての水は神王の血により赤く染まらん。赤い水を得しものは生きてるもの、死んでるもの残らず現れ出で、神王大いなる力で魂を元の肉体に蘇らせん、って」

「すごいわ、名無しちゃん。求道師さまよりも詳しいかもね」
「求道師さまは、覚えられていないのですか?」
「ふふ、未来の求道師さまの方よ」
「お子様がいらっしゃるのですね!初耳です」
「でも、あなたより年上なの・・・聖典はまだ覚えられていないけれど、立派な求道師さまに育てないと、ね」
「私だって、ここしか覚えてませんよ。ああ、一目、お会いできないかしら」
「ふふ、あの子なら会えるかもしれないわね・・・今度、秘密で連れてこようかしら」
「本当に!求道女さま、出来るんですか?」
「確証はないけれどね・・・」
「なんだか、卑怯な気もします」
「そんなこと!求道師さまはいつだって公平なお方なのよ」

「じゃあ、どうしてお会いできないの?それとも、本当は会ってはならないのですか?」
「どうしてそう思うの?」
「人よりも、神さまに近くていらっしゃるもの・・・」
「私はこうして、名無しちゃんに会っているわ。けれど、求道師さまはお忙しいから、あまり人前に出られないのも確かなのよ」
「そう、ですよね。私が違うわけじゃあ、ないんですよね」
「そうよ、神への祈りは大変なの。だから名無しちゃんも、祈ってみたらどうかしら?求道師さまにお近づきになれるかもしれないわ」
「ありがとう、求道女さま。私、祈りをささげます」
「マナ字架を持って。私のをあげるから・・・」
「はい!求道女さまからいただけるなんて、嬉しいです」






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