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×PSYCHO-PASS


「犯罪係数347!?うわぁ…人は見かけによらないって言うけど、こりゃやべーな…」

なんだこの近未来的な街は。
ボヴィーノのバズーカの効能通り十年後かと思ったのだが、どうも違う。一度未来に渡ったことはあるがこんな感じではなかった。亜空間のエネルギーにやたらと特化していただけだった。第一、十年かそこらで劇的に文明が進化し人々がついていけるとはとてもではないが思えない。決定的におかしいと思ったのは空気中の霊子濃度が少し高いことだ。現世の霊子濃度はそんなに簡単に変わるものではない。
今朝リボーンに用があったので綱吉の家に行ったのだが不覚にもランボとの殺し合いに巻き込まれた。いや、なんか無様に聞こえるからきちんと説明しておこう。未来で無事白蘭を倒して世界の平和を救った綱吉十代目御一行と現代に帰って来たのはつい一週間前のこと。一ヶ月後に行われる継承式について九代目から説明を受けたので、リボーンと話そうと学校が始まる少し前に来たのだが、どうやらランボもリボーンも虫の居所が悪かったらしい。理由は朝食のデザートというなんとも子供なもので。ああ、そう言えば二人とも餓鬼だったと思いながらも、必要なことなのでリボーンに声を掛けた瞬間、予告なしの十年バズーカ。しかも狙いは何故か私。避けることなど造作もなかったのだが、その延長上に奈々がいたのでまさか避けるワケにもいかず、でも彼女を抱えて避けるにも時間が足りなかったのでまぁ五分の我慢だと思って大人しく被弾した。

…のが、そもそもの間違いだった。あの時何故相殺という方向に頭が行かなかったのか。このワケの分からない状況に放り込まれて早一時間。激しく後悔中だ。そもそも、ただ街を歩いていただけなのに何故か公安局の常守とかいう女の子に任意同行を求められたかと思ったら側に控えてた黒髪短髪の男に奇妙な銃を向けられて一言。

『…オイ、監視官。任意同行なんてかわいいこと言ってる場合じゃねぇぞ』

しかもその奇妙な銃が一人でに形を変えたときた。その上、その銃のエネルギーの膨張具合がちょっと異常で。あれは鉛玉が出て来ないなと判断して、こっちも牽制するために制服の懐にある銃を手に取った。あ、ちなみに私ちゃんと並盛中学に通ってます。

『!…イマドキそんなモン持ってるとはな…なぁ、とっつぁん』
『ああ、懐かしいなぁ。だがな、これはちょっと冗談言ってる場合じゃなくなって来てないか?』

成る程。この時代、普通の銃は使われていないのか。その代わりが今彼らが漏れなく構えている形を変える奇妙な銃なのだろう。でも、私の持ってる銃も普通のじゃなくって。霊圧を込めて撃つ、破面のNo.1が帰刃したのと同じ感じのヤツだ。銃だと薬莢やら硝煙やらが面倒だから喜助に改造して貰った。ほらコナン君も動かぬ証拠だなんだと騒ぎ立ててるでしょ。私マフィアだからそういうの残ると困るんでね。なんて思ってたら、パトカーがもう一台到着して更に三人増えた。それで一番チャラそうな少年が銃を構えて叫んだのが冒頭のだ。
犯罪係数という耳慣れない言葉は一先ず置いといて、どうやら彼らの視界にはどっかのサイヤ人よろしくスカウターチックなモノが映ってるとみて間違いはないだろう。恐らくそれはその銃と連動していて、犯罪係数に比例して段々とゴツくなる設定と推測出来る。そして犯罪係数についてだが、私がどう反撃するかと考える度に上がってるらしいのを見ると、そういう思考がよろしくないらしい。あれだな獄寺とか雲雀とか絶対にこの世界にいちゃいけないタイプだ。だがあんな高密度エネルギー集合体の銃口を六つも向けられて九十番代の破道か卍解かの選択をしない奴などいるのか。

「撃て」

前髪邪魔そうな男がそう言った瞬間、黒髪短髪の指が動いた。
撃たれたらそりゃ対処しなきゃいけないワケで。ていうか無駄な会話を繰り広げている間にこちらの準備は十分整えさせて頂いたワケで。此方も銃を向けると、自分の霊圧に空気中の霊子も巻き込んで上乗せしながら大方相手のエネルギーと同じぐらいの出力で引き金を引いた。
結果、綺麗に相殺。
私が自分の霊圧調節に満足していると、第二波が来て。遅すぎるそれに余裕の瞬歩で避けると地面があり得ない大きさに抉れてるのが見えて背筋が冷えた。やっぱり相殺して正解か。もう一発ぐらい来るのかと霊圧を底上げしていると、不意に奴らの動きが止まった。

「…い、いやいや!おかしいっしょ!一発目は相殺で二発目避けたの!?ドミネーターのまんまに撃ったのに当たらないってどういうこと!?ていうかドミネーターの本気を相殺ってあの銃なに!?」

奇妙な銃はドミネーターと言うらしい。しかもそのスカウター機能は相当優秀なようで、照準さえ合わせれば当たる仕組みらしい。なんとも便利な世の中になったもんだ。射撃の腕なんてこの世界じゃあって無いようなもの。沙月やリボーン、コロネロも立場なしだな。
じゃなくて。
そんなくだらないことよりチャラ男の言葉に迷わずドミネーターを捨てて飛び込んで来た黒髪短髪男の攻撃を躱すことを優先事項とした方が良さそうだ。可愛らしい常守監視官が'こうがみさん'と叫んでいたので今後はそう呼ばせて貰うが如何せん漢字が分からない。向上、香神…………他に浮かばないぞ。

「ねぇ」
「…っ、なんだ」
「こうがみ。どういう漢字書くの?」
「てめぇ…ふざけやがって」

ちょっと気になったので殴る蹴るの暴行を数発躱した後に繰り出された蹴りを止めてにっこりと問いかければ、感情も露わに子供即泣きの表情で睨んで来た。これは好敵手と合間見えたとしても戦いを愉しむということが出来ない大変残念なタイプだ。と内心不満を垂らした時だった。

「………は?」
「犯罪係数が、…」
「ちょ、こんなことってあり!?」

こうがみの動きを制御したままチャラ男達の方を見ると、その声の理由が分かった。ドミネーターの形がエラくスッキリとしていて、一体自分の思考の何が良かったのか疑問に思いつつ、こうがみの脚から手を離すとチャラ男の横に並んで尋ねてみた。

「これってさ、どうやってエネルギーチャージしてるの?」
「は?そんなの知らねぇ………って、は!?」
「"かがり"!伏せろ!」

瞬歩で彼の側に寄ったのだが、案外普通に返してくれた。しかし、やっぱり途中で気付いて前髪邪魔そうな男がこっちにドミネーターを放って来た。その男の叫びでチャラ男がワタワタと伏せた瞬間、向かって来た何か。

「【廃炎】」

断空を使うまでもないが斥では心許ないと判断してこれにしてみたのだが、ドミネーターから創り出されるモノと霊力は細かい部分では異なるらしい。廃炎では消しきれずにまともに喰らった。じゃあさっきの相殺は一体なんだったんだと思いながら後ろに二三歩よろめくと同時に視界が歪んだ。

「…パラライザーを撃たれて倒れないって…どういうこと、?」
「オイオイ、化け物かよ」

神経麻痺系の何かのようだがこれはリボーンに笑われる。余裕ぶっこき過ぎだ、バカ。笑いを含んだ声が聞こえて来たのでうるさいと内心で言い返した。奴らの攻撃手段はドミネーターだけなのかそれが効かないとなると一々驚く仕様になっているらしい。随分と緩い世の中だ。私みたいな特例がいないと断言出来るワケでもないだろう。いつの時代だって数%の確率で異端分子は出る。

だけど、こうがみは違った。

私の動きが鈍ったのを見抜いて物凄く追い打ちを掛けて来た。斬魄刀を出すか。そう思って、一旦距離を取ると制服のポケットを探って匣を取り出し指輪に炎を灯した。ちなみに私の属性は嵐。斬魄刀の属性的に一番近かったからそうなったのだろうと十年後の喜助が言ってた。

「…っ、テメェどっからそんなものを、」
「私も必死でね。何としても"帰らなきゃ"いけないのよ」

あの人の下に。
最後の言葉は自分に言い聞かせる様に呟くと、斬魄刀を抜いた。





※※※




(…ていう夢みたんだけど)
(どんな夢見てるんスか。てか犯罪係数なんてあったら更木隊長とか獄寺さんは間違いなくエリミネーターじゃなくてデコンポーザーでやられてますよ)
(待って夢見た私より世界観把握してないで混乱する)





続きません。お試しでノリで書いたものです。
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