(お礼文順序:トキヤ→クラウド)
仕事でしばらく遠方に行っていたせいか、ひどく懐かしい気持ちになる。指定の場所まで歩くその過程ですら、懐かしさを感じてしまった。
忙しさとは恐ろしい、とため息を落としたものの次の瞬間にはそんな事はつゆ知らずと言うかのように胸が躍り出す。
ああ、楽しみなのか。私は静かに納得するほかなかった。事実、今日はお気に入りの腕時計に何度世話になったか分からない。
花火大会があるから行かないかと誘ってきたのは学園にいたときから共に頑張ってきたパートナーだった。勿論人混みは避けなければならないと、彼女が指定した場所は人気のない高台。私のことをちゃんと考慮してくれたのか、薄暗い代わりに全く人の気配がない。加えて視界が開けていて、ここからなら確かに花火も見えそうだ。
「あ、いたいた」
カラン、カラン、という足音と共に彼女が現れた。紫色の浴衣に咲くのは白百合、髪を飾るのは去年プレゼントした簪だ。
見慣れないその姿に見とれていると、歩み寄ってきた彼女が不安げに私の顔を覗き込む。
「もしかして、似合わない?」
「いえ、そんなことは!
……すごく似合っていますよ。いつにも増して、綺麗です」
私がそう言うと、彼女は頬に朱を散らしながら「ありがと」と言って微笑んだ。
久しぶりに見る彼女の笑顔。
久しぶりに聞く彼女の声。
そして。
「えっ、ちょっ、トキヤ!?」
「2週間も君に触れられなかったのですから、これくらい構わないでしょう?」
「……っもう、人がいないからって…」
言いながらも大人しく抱き締められている彼女がまたとてつもなく愛おしくて、思わず力がこもる。
2週間振りの彼女の笑顔と、
2週間振りの彼女の声と、
2週間振りの彼女の温もり。
全てが全て、私の幸せと共にある。
それを改めて実感した時、満天の星空に大きな空の華が咲き誇った。
きっと幸せの側に君はいる
title * Largo様
※返事の関係上、名前を書いていただけると嬉しいです。