晴れた夜空を指差した | ナノ
どちらかといえばやる気はない方だ。
周囲の友人たちからは「怠惰」「無気力」「労働意欲皆無」のレッテルを貼られ、その言葉を聞くたびに散々な言われようで罵られてしまうのは一体どういう星回りのもとに生まれた結果なのか。
しかし自身の口癖が「めんどい」「だりぃ」「勝手にしろ」という時点で、友人たちの暴言を否定する権利は俺に与えられていないのだろう。
無気力小惑星
『ここでは俺がルールだ!』
んなアホな。
過去三回は見た光景に欠伸を返すと、凝り固まった足首をグリグリと回す。
高校生活最後の始業式と入学式は相も変わらず破天荒会長の無茶苦茶な挨拶が一番目立っていた。
「天野、教室戻ったらアレやろうぜ」
前に立つクラスメートがペンで何かをちょいと突く仕草をした。
「あ、部屋に置いてきたわ」
DSの本体ごと。
「は?おまっふざけんなっ」
「何何?なんの話??」
「ボケモンやろうって話だよ」
『そこっ私語はやめろ!』
キーーン。すさまじいハウリングに周囲が騒がしくなる中、俺の周辺はシーンと静まる。何とわかりやすい。
泣く子も黙る不知火会長様の一喝は学年問わず効果があるらしい。へえ、と呟いて檀上を見上げると、その会長様と目が合ってニヤリと笑われた。嫌な予感しかしない。
『三年もだ、今年一年お前らが先頭に立つんだ。何がなんでも着いてこい!』
ああ最後までそのノリなんですね、と苦笑七割。残り二割が熱血で一割が無関心といったところだろうか。
妙に達観したあげくノリがいい三年生と教師陣、未だ慣れない感じが可愛らしい二年生、わけがわからず混乱する一年生。またこの構図か。
「だぁーりぃぃー」
はやく終わらないかな、入学式。
本気で呟いて、後ろに立つクラスメートに小突かれた。
何でこの学校に入ったんだっけか。もう二年も前のことなんぞ思い出せない。
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