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「帰ろ、斬奈」

『お、おう…その格好突っ込んだ方がいい?』

「今からその理由は解明されます」

『そ、そうか…』

ニヤリ と不敵な笑みを浮かべた制服が泥だらけになった、瀬楽が教室へやって来た。その姿に私以外にも隣の席である、幸村くんも驚いていた。片手にはバケツを携えて居て、何がこれから行われるのか不安になったが、バケツの中身を見たであろう幸村くんは「楽しみだな〜」と意味深な言葉を残して颯爽と教室を出て行った。中身は私も見た、大体の予想はつく内容だ。ニヤニヤ笑う瀬楽は私の席に隣接してある窓を開けて下を確認し、下に向かってバケツの中身をぶちまけた。下からは女子集団の金切り声に似た悲鳴が2階の教室まで聞こえて来る。最後にトドメのバケツ投下。ガツンと当った音が聞こえた。窓を閉めて瀬楽は言う

「行こうか!斬奈」

『うん』

***

改めて思う、瀬楽の行動力は凄い。先ほどの騒動は5限目の体育の授業中に起った。昼休み中に回された、メールによりバスケットのボールをワザと瀬楽にぶつけて来た。その中心が2E教室の真下を通っていた一団達、非日常をこよなく愛する瀬楽だが、やはり痛いのは好きになれないので、やられたらやり返せ!で6限目の授業をサボって冬眠中の虫達を捕まえてバケツに入れて奴等に投下したそうだ。その話を聞いて私は言った

『虫達が可哀想だから次からは墨汁とか掛けてあげよう』

「さすが斬奈。ブレないね」

『そりゃね。で、瀬楽。怪我の治療きちんとしていないでしょ?』

「あ、バレた?」

『すぐ分かったよ。特に左側が痛いんでしょ?重心が右側に寄ってる』

「やっぱり斬奈にはバレちゃうか〜」

にゃはは〜 と笑う瀬楽だが、痛みを堪えている為少々顔が引きつっている。ボールをワザと当てられただけではない事は話を聞いた時に思った事だが、これは酷すぎる。先ほどの仕返しだけでは全然割に合わない。さてどうしてやろうか…と言うのは後々考える事にして、今は瀬楽の治療が先だ。瀬楽の家よりも私の家がここから近い為、招く事にした

『瀬楽、今日私の家に泊まりましょ?』

「え、でも…家の人に迷惑掛けちゃうのはなぁ〜」

『大丈夫よ。家広いし、上兄2人家出て行って寂しいぐらいだし』

「え、斬奈。上に兄2人も居るの」

『私の下に双子の姉弟も居るよ』

「ウソ!?5人兄妹なの」

『そう。両親、祖父、祖母も合わせたら9人家族だよ』

「大家族なんだ〜」

『そ、だから、瀬楽が来ても何の問題もないんだよ。どうする?』

「じゃあ、お邪魔する」

『はい、お邪魔して下さい』

あ、そう言えば立海に来てから友達を家に招き入れたの初めてだ


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