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「斬奈、食事は?」

『城海から呼び出し。朝の事に対して言いたい事があるそうだから行って来る』

「やっぱり、朝の事は斬奈の仕業か…」

『ジャッカル…仕業ではないんだよ。カツアゲ何て幼稚な事を行っていたのはあっち。私はいけない事をしたのを止めてあげたんだから褒めてくれなきゃ、じゃね。さっさと行って昼食にしましょ』

「おう」

言われた通り昼休み体育館裏へ行こうとした時。ジャッカルと遭遇する。今朝の出来事はもう学校全体に広がっているそうで、やっぱり と言ったジャッカルの耳にも届いていた様だ。会話を軽く交わして、呼び出しを受けた体育館裏へ向かった。そこには城海、陸離、上田の3人が居た。会長の天空寺と幼馴染の野山さんはどうやら来ていない様だ。会長さんから直々に忠告されるのかと思って居たのにちょっと残念だ

『来たけど何?』

「生活指導のセンコーにチクったの槇火紫、お前でしょ?」

『そうだったら?』

「ふざけんじゃ無いわよ!私のストレス発散を邪魔したからにはこれから覚悟しと来なさいよ!」

『どんなのが来るのか楽しみに待っていてあげるよ』

「ホント、ムカつく奴!もう行こう」

「…」

『?』

「瀬楽?」

格闘に長けている城海だから、殴って来るんじゃないかと期待していたけれどもそれは1oも無かった。少々残念だったが、何かあった時に弦一郎から怒られる羽目になるのだけはやっぱり避けたかったので、忠告だけで済んで良かった。私と同じ様に城海の後ろでビクビク している振り上田も不満そうな表情だ。闘ってもいいけど、今この場に居るお前を一番に私は狙って潰すけど?何て目線を送れば上田は顔色が青になった。自分に被害が出るのは嫌とかふざけんなよと思いながら帰ろうとした時、城海と上田から少し離れていた所に居た陸離はジッ と斬奈を見つめたまま、動かなかった。城海が声を掛けると陸離は城海の方を向き直って言う

「真央ちゃん、あたし槇火紫さんの方に行く!」

「『はぁ?』」

「前々からあたし思って居たの!槇火紫さんのあの常識を遥に超える非常識な力!!あたしの憧れが全て槇火紫さんに詰まっている!」

「瀬楽、アンタ…」

「真央ちゃんは知っているでしょ?あたしが非日常に憧れている事に!」

「瀬楽、槇火紫の方に付くならファンクラブは敵になるんだよ。分かってるの?」

「分かってる。だってそれも“非日常”じゃない! って事で、槇火紫さんこれからよろしくね。あたしの事は瀬楽と呼んで良いから、槇火紫さんの事も“斬奈”と呼んで良い?」

『どうぞ』

「やったー!ありがとう!!」

思わず城海と声がシンクロした。それからはトントン拍子に話が進み、陸離瀬楽は私と“お友達”になった。城海は上田を連れてさっさと校舎に入ってもうその場には居なかった。それからの私達は…

「先ほど斬奈の“お友達”になった陸離瀬楽です!私も今日から皆の仲間だからあたしの事も“瀬楽”って呼んでね」

「斬奈、どう言う事だ」

『瀬楽が言った通りよ。先ほどお友達になったの』

「よろしく〜」

瀬楽を連れて弦一郎達が待つ場所へ向かえば、唖然とされた。それもそうだろう、10分ほどの短時間でいったいどうやって瀬楽が仲間になったのかは誰だって知りたいだろう。私もだ。非常識なのは自分自身分かって居るが、こうもはっきり“非日常”とされてしまうのはいささか悲しい事だ。それでも“お友達”になったのは本当なので、警戒してながらご飯を食べないで頂きたい

***

「それは本当なんですか、真央」

「本当だよ、燦奈。瀬楽は私達から離れた」

「燦奈ちゃん、音姫も見てたからホントだよ。瀬楽ちゃん、槇火紫の方に行くって言ってた」

「…そうですか。突拍子もない考えを思い付く瀬楽さんが、ファンクラブからいなくなってしまうのは辛いですが…規則は規則です。向こうへ付くなら同じ報いを受けて貰います」

「了解、ファンクラブの子達にメールするね」

「(瀬楽ちゃん…)」

「望、メール送ってね」

「う、うん」

会長である天空寺は城海の言葉を聞いて溜息を吐いた。今まで槇火紫に仕掛けて来た中で突拍子もない事は全て、非日常を愛する瀬楽が考えた仕掛けだった。周りの斜め上を行く方法はファンクラブの中でも瀬楽だけだったのでファンクラブからすれば痛手である。元々上田ともちょっと離れた距離を保っていた瀬楽が、槇火紫さんの方へ行った事で野山はある決意をする。時期を見て自分も真央と決別する事を

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