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『ただいま〜』

「おかえり〜遅かったな」

『屑が幼稚な遊び行っていたから、正義の鉄拳お見舞いしてあげた』

「乙だな、その幼稚な奴等」

輝兄の家へ帰るとちょうど夜ご飯が作り終えられた時だった。美味しそうなクリームの香りが私の鼻をくすぐる、今日はどうやらクリームシチューの様だ。鞄を無造作にリビングへ置いて手洗いうがいで食卓へ、メールを確認すれば弦一郎と幸村くんから。公立の高校生は自分の学校に連絡を入れたそうで、私のメールが来た後で立海中学の生徒指導の先生から連絡が来たそうだ。明日の朝処分を言い渡すそうで部活を休まないといけないとの事、幸村くんのメールも弦一郎のメールと大差無しだが、その後延々と愚痴が掛かれてある為長くてめんどくさい。全部読む気は無いので途中で放置。今は食事が優先だ

『ご馳走様です』

「おう、風呂沸かしてあるから先に入れ」

『ありがとう』

輝兄のお言葉に甘えてゴージャスなお風呂に入らせてもらう。何がゴージャスかと言うと、口からお湯を出すライオンが浴槽に付いているのだ。何処のホテルのお風呂なんだと初めて入った時に声に出して言ってしまったが、慣れたらもう何とも思わないがな。このライオンには輝兄が名前を付けている“シーライオンのしーちゃん”と言う何とも残念な感じの名前が付いている、付けた本人が良いなら別にこちらはもう何も言わない。しかし、我々槇火紫家は名前のセンスが残念だ。代々な様でもうこれは血筋と言ってもいいだろう…風呂を上がれば輝兄が人のスマフォを勝手に扱っている。ゲームか何かかと思って居たが違ったらしい

「お前、ストーカーにアドレス渡したのか?」

『はぁ?ストーカー??何の事』

「この“幸村精市”って言う男の子から短時間でメールが100通以上来てるぞ」

『ゲェ。さっき返信しなかったからか…でも、今日は眠いから明日ゴメン☆って軽く謝る』

「それでいいのか…?」

『別にいいよ。だって“身内”ではないから』

「…ふーん」

『おやすみ』

「おやすみ、明日休みになったから送ってく」

『サンキュー』

“身内ではない”この言葉で輝兄は全てを理解した様だ。私の家族槇火紫家は、私自身の事を知っている。知って居て様々な事を協力してくれているのだ。身内と仲間と敵の境界線はそこにある


*私の事情を知っている人が“身内”

*私の事情を知らない人が“敵”

*私の事情を知らないが協力してくれる人が“仲間”


基本的に私を保護してくれる“役割持ち”が“身内”役割持ちの幸村くんはまだ判断出来ない為、“仲間”として居るが正直私は全てを信用している訳ではない。だから私からは幸村くんに対して情報は一切渡さないので、メールも最小限に行うだけだ

***

「行ってら」

『行って来ます』

昨日話した通り輝兄に学校まで送ってもらった。生徒指導の先生から呼び出しされたとのメールだった為、生徒指導室へ足を運べば少し扉が開いていたのでそこから覗けば案の定。反省文を書かされている城海、陸離、上田の3人の姿が在った。風紀委員長の弦一郎とテニス部部長の幸村くんの姿も在った。2人は先生から上田の事の処分を言い渡されている様だ。2人には申し訳ないが、上田は良い様だ。目線を3人に戻すと上だと目が合ったので笑ってあげた。私が仕出かした事だと分かった上田は凄い形相で睨みつけていたが私からすれば、痛くも痒くもないので気にせず教室へ戻った。1限目の始まる前に幸村くんと上田は帰って来た、移動教室だったので移動する中で陸離瀬楽が話し掛けて来た

「槇火紫さん。真央ちゃんから“昼休み体育館裏で待つ”って」

『分かったわ』

「じゃあねぇ〜」

伝言による果たし状を貰った

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