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「何で私等がこんな事しないといけない訳?!勘弁してよー。あのジジイ先生!そんなんだから結婚出来ないんだよー!」

「眞中先生結婚しているよ。奥さんの話になるとデレデレした顔になるの有名だよ」

「マジでー!?もう、どうして誰も教えてくれなかったの。こんな楽しそうな話!」

「結構有名な話だよ。大体アンタ眞中先生の話になると嫌がって耳塞いでいたじゃん。結婚している話が広がったのは最近だからまだ知らない人も多いと思うよ」

「そうなの!?広がった原因って何?!」

「男子達が罰ゲームで宍戸くんにい聞かせてホントだったと分かったそうだ」

「マジかよー」

テニス部を離れて音楽室へ向かう途中そんな会話を耳にした。眞中先生は見た事がある。とても厳しくて生徒から恐れられている先生だ、生徒会の先生だった筈。前の学校で先生同士で話し合っていた話だが、教鞭を取る学校ではその事を隠していた様だ。まぁ、隠していた理由は分かる。強面の顔が奥さんの話では終始ニコニコした表情を崩さないのだから。見た時の私も驚き過ぎて一時信じられなかった事を覚えている。そんな話を聞いた後、特別棟3階周辺の渡り廊下をキョロキョロしていれば背後から声を掛けられる

「おお!お久しぶりー!!斬奈さん」

『英奈。お久しぶり!奇跡じゃん、この広い校内で会えるとか』

「珍しいのは斬奈さんの方だよ。ほとんど他校には来ないのに」

『学校からこちらの生徒会長へお使い頼まれたんだ。中身は不明だけど』

「多分、今月下旬頃にある他県の学校も巻き込んだ弁論大会の事だろうね。代表者も不明、参加校も不明、弁論のお題も不明な謎の大会」

『何も決まってない訳ではないんだよね?』

「話がついたのは立海と晴学(はれがく)だけって会長からは聞いた」

『晴学?!あの鎖国学校が弁論大会に参加するの?!』

「うん、私はそう聞いた」

晴学(はれがく)正式名称を国立見晴聖王学園。東京湾にある、人工島に幼稚園から大学まで学校が存在する学園島だ。東京湾にあるがこの学校は何処の国からも干渉を受け付けていない。もちろん学園を維持する為には各国々が多額の投資をしているが、それでも学校は1つの国として存在する事を認められている。学園は世界各国から集められた超エリート学生達が生活をしている、言わばこの学校は将来世界を動かす力のある子供を教育する場所なのだ。だから閉鎖的な学校なので、滅多に学園外へ活動の場を設ける事はしないのだが…そんな学校が何故今頃になって行動し始めたのか気になったので、調べてみるかと思って居ると、そう言えば と言って英奈が何かを思い出した

『何?』

「最近、生徒達の間で“首切り話”の噂が飛び交っているんだよね」

『物騒な会話。何時頃からそんな話が出始めたの?』

「2週間前ぐらいかな…“首切り塚”をテニス部の誰かが見つけた事でその噂が広まったらしい」

『他人の私有地に無断で入るとか、何してんだテニス部。まぁ、首切り話はお年寄りに聞けばいくらでも聞ける怪談話だからね、ほっとけば?』

「会話だけなら危険性はないのは私も理解しているよ、だけどチェーンメールで誰かが大量に色んな人に回して新しい情報を書き込んでそれを更に色んな人に回している事が調査で分かったの。今の所は東京だけだけど広がったら厄介でしょ?」

『手伝った方がいい?』

「大丈夫、斬奈さんの方が今大変なのにこれまで背負い込ませたくないよ」

『私は平気だよ。楽しいから、楽だし』

「全校生徒から無視されている状況を楽しめるのは斬奈さんだけでしょう」

『だろうね。あ、時間やべぇww音楽室ってあっちでOK?』

「そうあっち、音楽室探してたの?引き留めてごめん。それじゃあ」

『進展したら教えてね〜』

「了解」

渡り廊下で会話をしていれば結構な時間が経っていた為、急いで目的の音楽室へ向かった。野乃火英奈(ののびえな)私と同じ七大一族の1つで【吐露の野乃火】と知られている。東北地方(北海道を含む)を纏める一族。様々なモノを己の体に降ろして魔を祓うとても珍しい家系でもある。その為一族の全員とても厳しい修行を行って心を鍛えた強者が揃って居る。子供の頃何度も精神攻撃を仕掛けて返り討ちに遭って居る。さすがプロ集団。一筋縄ではいかないのだ。英奈は青森に住む親元を離れ、東京に居る叔父の家から氷帝学園に通っている氷帝では唯一の理解者である一般人(?)だ。どうやら英奈は氷帝で噂になって居る都市伝説の調査を行っているそうだ、しかも曰く付きの触れてはイケナイ七不思議の1つをだ。手伝っても良かったが、英奈は怨嗟のアヤツの様に突っ走って行く訳ではないので無理な時は頼ってくれると信じられるので彼女が頼るまで私は何もしない。目的の音楽室へ行く前に現れた“最強主・中島萌子”から声を掛けられた

「ねぇ、アンタ何者なの?」

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