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「斬奈、大丈夫?」

「斬奈怪我してないか?!」

『萩之介お久しぶり〜、大丈夫だよ、何も問題ない。景吾くん、生徒会室から見えていた通りだよ。それに彼女の手は萩之介が止めてくれたから怪我などないよ。それに2人が登場しなくても、ジローちゃんが山崎を殴っていたと思うし』

「跡部、平手何て生温い…拳で殴らなきゃ」

「咄嗟だったからな、平手になっちまった…」

『グーで殴ったら傷物になっちゃうよ。そうなったら殴ったどちらかが貰わなきゃならなくなるよ』

「それは嫌だC〜」

「そんな事になったら跡部の名に泥を塗る事になるな」

『でしょ?“成金”の娘なんだから何考えているか分かんないよ』

考えても出て来ない答え。叩かれたショックに追い打ちを、掛ける言葉の羅列で山崎の表情は一気に真っ青に染まった。何を言われているのかの意味を考えるが冷やかな眼差しを向けられた山崎にはその場でジッ と耐えなければならない程の恐怖に襲われているのだろう。菊池百桜の様に媚を売らず懸命にテニス部の仕事を行って来て、それなりに目の前の3人のキャラとも仲が良かった筈なのに、なのに!と今山崎は思って居るだろう。今は先ほどの絶望の瞳から私に、向ける怨みの瞳へと変わった事で山崎も私を敵と理解した様だ。ジトと睨む、いいの?こんな所で睨んで?君の大好きな王子様は目の前に居るんだよ?

「山崎、テメェ俺様達の“大切な人”に手出すとは、いい度胸してんな…テニス部辞めたいなら今すぐ辞めろ」

「景吾、私は…!!」

「跡部。今彼女を辞めさせたらあのコートに、居る役立たずしか残らないから辞めさせちゃダメだよ。最後の最後までこき使い続けて捨てなきゃ」

「そうだよー、跡部。コイツが居なきゃ平部員達の練習時間が減っちゃうよー」

「それもそうだな。山崎、今回のこの件は不問とする。だが、次斬奈に対して同じ様な事をしてみろ、日本にお前の居場所は無いと思え。仕事に戻れ」

「っ…は、はい」

弁解の猶予も与えられないまま一方的に、話は終わらせられ山崎はコートに戻る様指示を受ける。一部始終を見ていた生徒達の間ではざわめきが起こっていた。がそんな事は気にせずに私は物を景吾くんに渡して目的を果たす。受け取って中身を確認した景吾くんからテニス部見学を、勧められるがチラリと瞳だけ少しコートに移して丁重にお断りを入れる。理由は言わずとも分かった3人の前を後にして斬奈は校内見学でも行って行く事にした

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