短編 | ナノ





「ナマエ!ナマエ!!ナマエ!!!」

『何ですか、クダリさん。そんなに呼ばなくても聞えてますよ』

「バレンタインだよね?」

『そうですね、バレンタインですね』

とびっきりの笑顔で走り寄って来たノッポな小動物もとい、サブマスクダリさん。巷で天使だの妖精だの言われている彼は昼夜逆転生活の私には眩し過ぎた(休みだと言う事で徹夜でゲームを貪っていて寝ていない)目尻を解しながらウキウキしているクダリさんと距離をとれば、詰められる。終らない気がした為、諦めて用件を聞く

『で?お忙しいサブマスさんが、何用に私の家に?』

「チョコ作ってる?」

『女友達用のチョコ以外はありません』

「えぇ!?恋人の僕の分は?!?」

『私は恋人は居ません、だからくだりさんの分だってありません』

チョコがないと知った瞬間のクダリさんの落ち込み様は電気ショックに当った様に大層驚いていた。ってか、さらりと恋人発言の方が私からしたら恐ろしい事この上なかった。普通あんなにさらっと言えないよ。大方誰かに喋っていそうだな、何て思えば背筋に寒気がした。これで黙るだろうと思った私が馬鹿だった、あの兄にしてこの弟だ。これで黙ると思ってはいけなかった

『もう、いいですね。帰って下さい』

「わ!待ってよナマエー」

『私のチョコは女友達用でクダリさん様ではないですってさっき伝えたでしょ?まだ何か??』

「うん。作ってないって言われるのは予想してたから僕からナマエにプレゼント!」

『うわ〜、アリガトウゴザイマス』

気が乗らない私とは裏腹にプレゼントを渡したクダリさんはとてつもなく上機嫌だ。先ほどあった瞬間以上に顔は二割増しほど緩んでるに違いなかったのだが、とりあえず、この中身不明のプレゼントの包みを雑に扱いながら捨てて行く。「さすがナマエ豪快だ!」などと褒めているのか分からない言葉を掛けるクダリさんを無視して黙々と包みを外す。異様に厳重に頑丈にされた包みに少々イライラしているとようやく中身が見えた。そこに入っていたのは…

『デンチュラのぬいぐるみ!!』

「気に入ってくれた?この前ライモンデパートでナマエが艶っぽい瞳でその子見てたから買ったんだ!」

『へ〜、ソウナンデスカ…。とりあえずありがとうございますねクダリさん』

「このデンチュラのぬいぐるみすごい機能を付けたから、ナマエがお家で倒れたりしたら、すぐに駆けつけてあげるね!!」

『え?それって…』

もう、どこから突っ込みを入れたらいいのか何て考えていた。デンチュラのぬいぐるみを見て触っていた時は一人だったはず!!周りに店員居なかったし他の人達だって!!!なのに何で知っているんですか?何て聞いたら取り返しがつかなくなってしまう気がする為とにかくスルー、けれど先ほどから気になる持った時より重たいこの子とクダリさんの発言で私は気付いた


?



(とりあえず、デンチュラさんはクダリさんが帰った後手術が必要の様ですね)

(な、何で!?!)

(盗聴器何て入れてあるからに決まってるでしょうが!!)

(違うよ!僕からの愛が詰まってるんだよ!!)

(サイテーの愛だな)





20120212
次はクダリさん(pkmn)
▲▽がただの犯罪者になってしまったが後悔はしてない。連載の方でもきっと2人はこんな感じです
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