短編 | ナノ
それはいつもとは、ちょっと違う日でした…。

「さてと…。今日のお仕事何にするかな〜。」

なまえがいつもの様に、チャットの所に行き依頼クエストを見ようと来て見ると…。

「こんな仕事やってられるか〜〜!!!!」

「ちょっと!!ナマエさん!!何やっているんですか!!!!」
  
バラバラバラバラ…。

チャットの手元にあった依頼書を手に取り、宙に放り投げるナマエの姿。ここ最近採取クエだの、採掘クエだのを、こなす毎日に嫌気が差した様子があった。それが今しがた弾けてしまった様だ、周りに居た人達が依頼書を片付ける間。ナマエはチャットの説教を喰らっていたが、馬の耳に念仏な状態の為、意味が無い。それを周りのメンバーは分かっている様で、周りが書類を片付けてチャットに渡す。今日は依頼をしないって、事で片付いた様だった。

歩き出そうとすると、隣に居たプレセアが声を掛け停止させた。何事かと思い、下を向くと一枚の依頼書があった。

「何だこれ……?」

「どういった内容ですか?」

「えっと……。“石像の肉球の納品依頼”!?」

「!!」

依頼書に書いてある文字を見て、2人は震えだす。2人の頭の中はただ一つの文字で埋め尽くされていた、それは…。

「「(肉球!!!!!)」」

そう、その言葉だけだった。2人の頭の中は、お花畑でたくさんの肉球動物に囲まれている所だった。2人で変な夢の中に居ると、後から声を掛けられ現実へ戻って来た。

「何やってるの2人とも!!」

「よう!ジーニ。」

「おはようございます、ジーニアス。どうかしました?」

「(可愛いな、プレセア…。)あ、いや。2人で何やっているのかな〜って思って。」

現実に戻したのは同じチームメンバーである、ジーニアス。プレセアに恋する少年だ、ジーニアスの心の声を聞き、なまえは苦笑しながら答えた。なまえからの誘いを受けて、ジーニアスはもちろんと言い嬉しそうにした。依頼書を持って、なまえはチャットの元へと向う。

「チャット、俺達この依頼受けるよ。」

「あぁ、分かりました。“石像の肉球の納品依頼”ですね。今のパーティーだと、後一人入れられますけど?」

「うーん。じゃあ、すずを呼んでくれ。」

   シュタ!!!
「私はここに…。」

「「……。」」

チャットが近くに居たファラに、呼びに行ってもらおうとしたが、既に目の前に居た。いつの間にかだった為、チャットとジーニアスは驚いて言葉が出なかった様だ。なまえにとっては気に、する様な出来事でもなかった為。さっさと書類にサインをして、看板へ向う。遅れない様に、ジーニアスは急いで3人を追っかける。

***

―獄門洞―
純和風で桜の花びらが舞う神秘的な場所。この2層目の場所に、目的の“肉球”を持ったモンスターがいる。先頭を歩くなまえとプレセアは、近寄って来る敵をガンガン潰していく。まぁ、はっきり言えばLvが違いすぎて、相手モンスターが逆に可哀想な状態だった。そんなこんなをしている内に、やって来ました、2層目へ。

キョロキョロと辺りを見合わせていると、突如後から襲われた。驚きながらも武器を構え、皆戦闘を開始した。出てきたのが、ストーンシーサー×2とシーサーチェスト×2の組み合わせ。ストーンシーサーに近寄りながら、一定の間隔を開けてなまえは攻撃を仕掛ける。ふと、敵の顔(?)に目線を向けて、一言思った。

「(…変な顔…。)」

そう、思いつつ。硬い敵の体に攻撃を仕掛けていく、相手が自分達の技を封じる手段を、
持っている事に気付いたが、気にせず秘奥義をぶっ放した。なまえの秘奥義を喰らい、敵を倒すと、落し物をした。

「何だこれ?」

重量感のある石の塊。なまえが色々と、触ってみるとプレセアが何かに気付いた。

「!!なまえ、これってまさか……。」

「!!!も、もしや!!!」

一旦地面に置き、プレセアと共に驚く。また、やっていると思いながら、すずは周りに敵が居ないかを確かめていた。なまえが手に取り、プレセアと顔を見合わせたいそう驚き声を上げた。

「こ、これが“石像の肉球”かよ!!!」

「うん、そうじゃない。さっき戦闘終了時に、テロップに出ていたし…って!?」

2個も出たしね〜などと、ジーニアスが嬉しそうにプレセア達の方を見て驚く。愕然として動かない、2人の姿がジーニアスの瞳に映った。ダン!!と強く握り拳で地面を叩くと、なまえはこう言った。

「俺は認めない!!“石の肉球”なんてものは!!!」

「私もです、なまえ!!!」

「やはり、分かってくれるか!?プレセア!!!!」

「はい、分かります!肉球と呼べるのは、プニプニした感触の物だけです!!!」

「その通りだ!!ましてや、こんなの邪道に過ぎない!!!」

ガシ!!と強く2人は手を握り合い、石の肉球に向って罵倒し始める。仕舞いには、依頼物を投げ飛ばす所まで発展した。依頼品に傷がつかない様に、ジーニアスは依頼品を回収する。一時納まらないと思って残りの1個を、すずと共に敵を倒しに行く。

***

―一時間後―
何とか残りの1個を手に入れて、ジーニアスとすずはなまえ達の元へ帰る。さすがに前衛の2人が居ないと、術ばかりに集中出来ない。そろそろ終わったかな〜と、思いながら元の場所へ行くと、すごい事になっていた。

なまえとプレセアを囲む様にして、モンスター(四足の獣系)がうじゃうじゃ居た。何事!?と叫ぶと、中心に居た2人がジーニアスとすずに手を振る。しかも、満面の笑みで…。それを見てすずはすぐさま理解した。

「どうやら、なまえの力でこの状態を作った様ですね。」

「そうだね…。」

頭を抱えながらジーニアスは苦悩する。ジーニアスの苦悩を知らない2人が、モンスターを連れて2人の前にやって来る。ジーニアスの前にやって来ると、なまえとプレセアは真剣に言った。

「ジーニ。」

「何?なまえ…。」

「俺達、さ…。やっぱり石の肉球は認めない!!!って、結論になったんだ!!」

「は?」

「だから、石の肉球なんて邪道以外の何でも無いって、分かったんです!!!」

目を輝かせながら言う2人の会話に、ジーニアスは呆然と立ち尽くしていた。一時間経てば何か変わっているはずだ!!と思った自分が馬鹿だった!!と、強く思いながら、未だに語り合っている2人とたくさんのモンスターを見つめた。終わらない会話を聞きながら、ジーニアスは沸々と湧き上がる怒りを感じた。
そして……。

「いい加減に!!しろーーーーー!!!」

ピカ!!! ドーーーーン!!!
巨大な暗雲の中から一つの光が落ちて来て、モンスター達を巻き込んで周囲に電気が走る。ジーニアスの秘奥儀【インディグネイト・ジャッチメント】が発動!辺りはモンスターの断末魔の間から、2人の人の声が洩れていた。

***

「で?どうしたんですか、お2人ともその頭…。」

「「身内(メンバー)の逆鱗に触れまして…。」た…。」

依頼された品物を持って、なまえとプレセアはチャットの元へ。目の前に来た2人の頭を見て、顔が崩れっぱなしのチャット。無理も無い、2人は見事なまでのアフロへアーへとなっていたのだから。アフロの出現により、機関室は人が集まる。2人の言葉を聞き、チャットは後を見ると、頬を膨らましたジーニアスの姿が…。なるほど…と、2人の頭がどうやって出来たのかを理解すると、依頼品を納品してもらった。納品する時に、なまえこう言った。

「チャット、やっぱり。肉球は獣系が一番だったよ。」

「はい?ってか、何の話ですか??」

「石の肉球は認めない!!って話です!」

「意味が分からないですが…。」

全く噛み合わない2人の会話を聞きながら、チャットは2人を見送る。パーティーを解散した後、ジーニアスはチャットの所に向う。

「ご苦労さまです、ジーニアス。」

「ホントだよ〜!!変なスイッチがいきなり入るし…。」

「ですね〜〜。」

チャットの所で文句を言い始めるジーニアスなのでした。


石の肉球なんて認めない!!

(やっぱり、肉球は猫とか犬だよな〜♪)
(そうです!!子犬、子猫なんてまたさらにいいです!!)
(あそこ、なんの話しているの??)
(肉球の話らしいよ。)
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -