(ホント、馬鹿らしい…。彼女達には、こんな事する以外にやる事ないのかしら…?)
ゴシゴシと自分の上履きを女子トイレで洗う女の子が一人。彼女は寛大な溜め息を出すと、上履きをバケツに入れてトイレから出ようとした。が、彼女の前にケバく香水バンバン着けた、女子3人が現れた。彼女の様子を見るなり、その3人の真ん中の女子が彼女に声を掛けた。
「あら〜?ナマエさん。ずいぶんお似合いな格好ですね?」
『お褒め頂いてありがとう、花圃さん?貴女は名前に似合わない汚い格好ですね?』
「な!!」
『宮ノ内さんも竹中さんも名前は綺麗なのに汚いオシャレしてますね?』
「何よ!!言わせておけば!!」
『ハッ、本当の事でしょ?こんな低レベルな事するよりも、進学の事でも考えたら?』
「アンタ、ちょームカつく!!!」
『勝手にムカついとけば?花圃さんに、ムカつく言われても怖くないから。』
ダン!!と花圃百合子は女子トイレの壁を蹴ると、取り巻きの宮ノ内海と竹中美穂を連れて出て行った。彼女こと、???ナマエはただいま絶賛、この3人からのイジメっぽいのに在っていた。しかし、本人のナマエにとっては、彼女等のやっている事は生温い為そんなに気にしていない。
(毎回、同じよね〜。しかも手緩いし、だからこっちもこんな態度で居られるのよね。だけど、私って本当に不幸体質よね〜。転生した先でもこんな事に巻き込まれるだなんて…。)
そう、彼女・ナマエはこの世界にトリップで転生して来た女の子なのだ。元居た世界では、この世界のアニメも漫画も全て買っていた所謂オタク(腐女子)しかし、職業柄陰険なイジメやパワハラなどが日常起きていた為、かなり免疫が存在していた。何故ならば彼女の転生前の職業は…女性軍人。しかもかなりのトップまで上り詰めていた、だが、愛する我子を人質に取られ、殺された。そして次に目覚めるとそこは病院で、目の前には知らない女性の存在。
(まぁ、あの時は一瞬驚いたけどね〜。でも、別の人生歩むのも楽しいから、ラッキーだったんだけどね!身体能力や知識などは向こうに居た時のままだから、かなりラッキー。まさか…そこに私は運を使い果たしたのだろうか…。)
かなり彼女は昔から不運の持ち主だ。とことん自分が嫌な事に運が当り、嫌々やって来た。しかも現在進行形で、不運は続行され続けている。
そんな中、自分のクラスに向かってナマエは廊下を歩けば、不運を呼ぶ男が前からやって来た。ナマエはあからさまに嫌な顔をして、出来るだけそいつに近付かない様に端を通る。が、その男はナマエに気付き、声を掛けてきた。知らない振りしてその場をやい過ごす、と言う選択もあったのだが、後々五月蝿いのでそれは行わない。
「よ!ナマエ!!」
『何か御用?私の“疫病神”くん事山本武。』
「あはは!相変わらずだな!!俺の言われようは!!」
『ははは、当たり前だよ。君のお陰で私はことごとく不愉快極まりないからな!』
「ホント、大丈夫?ナマエちゃん…。」
「お前、顔色わりーぞ??」
『ありがとう。綱吉くんに隼人くん。如いてお願いと言えば、この疫病神をとっとと私の前から退かせてくれないかしら?』
「山本&野球馬鹿「行くよ(行くぞ。)」」
不機嫌Maxのナマエは、目の前にいる疫病神こと山本武で知り合った。この物語の主人公・沢田綱吉。そしてその隣銀髪で自称10代目の右腕事・獄寺隼人。武以外のこの2人とは仲が良いが、武が絡めばナマエはいつもこんな感じだった。顔色が不機嫌に染まりつつあった為、綱吉と隼人はナマエの言いつけ通りにした。2人に引き摺られその場を離れて行く武は、至って普通にナマエに手を振っていた。再度それに対してナマエはイラッとしたが、気にせず、教室へ戻った。
教室に戻るとバタバタバタと、ナマエの前に女子の集団が現れた。ナマエにとっては、いつもの光景なので気にせず、その集団を掻き分けて教室の中に。その場に居た女子全員は逃がさない!!と言う様に、ナマエをがっちり掴んだ。観念したナマエは全員に理由を聞く。
『今日は何??』
「分かっているでしょ!!」
「いい加減、先生に言おうよ!!」
『だから、何の…。』
「花圃さん達の事!!!」
『あぁ、それね。大丈夫よ。あれ以上やって来た事ないし。』
「大丈夫って!ねぇ、ナマエ!!」
ナマエを取り囲んだ女子達は全員#ナマエの味方。と、言うよりかは、並盛中のほとんどが、ナマエの味方と考えても正解だろう。それだけナマエは人望にも厚く、リーダー的存在だった。だからこそ、ナマエは何もしないのだ。これはあくまでナマエと花圃グループの問題な為、先生などの介入は逆に事を大きくする可能性があるからだ。なので、彼女達の気が済むまで勝手にやらせておいてやるのが、一番の今の所の対処法だった。
(美代達が言いたいのも分かるんだけどね〜。ここで、先生達が出て来たら、火に油を注ぐ行為になりかえないからね。だから勝手にさせているのよね〜って、言っても友達としては嫌なんでしょうね。)
ナマエの周りに来た友達の美代を、落ち着かせナマエは自分の席に着く。辺りを見渡せば美代の言葉に賛同しているのは、どうやらクラス全体の様だった。ナマエは軽く溜め息を吐いて皆に意見を言おうとしたが、クラスに入ってきた担任によってそれは出来なくなった。担任の登場によって、美代達も自分の席に着く。色んな事に対して、無関心なナマエだったが、先生の最後の言葉には驚きを隠せなかった。
「…って訳だ。よろしくな。なまえ。」
『って!!いつ、誰が“私、やります!!”と言いました?!その話前からありましたっけ?!』
「いいや。先生達の独断で決めさせてもらった。」
『私の意志は?!』
「いいだろ?内申書にも良く響くと思うぞ!」
『脅しですか?!』
「いや、好意だ。まぁ、今日の放課後。第一回目の実行委員会があるからよろしくな!」
『先生なんて死んでしまえぇぇぇ!!』
「あはは!HRは以上だ!解散!!」
周りからドンマイの声を掛けられ、ナマエは自分の不運さを呪っていた。ボケッとしていた時に先生から貰った、一枚の紙を見ながらナマエは本日一番の寛大な溜め息をついた。やりたくない…と、一言言ってナマエはそこに書いてある場所に向かって教室から出て行った。
嫌だな〜だなんて完変えながらナマエが歩いて行けば、前の廊下を横切った学ランを見て足を急いだ。廊下を小走りで走りながらナマエは、目の前の学ランの人物に声を掛けた。
『雲雀先輩!!』
「やぁ、どうしたの?ナマエ。」
『すみません。本日、風紀委員のお仕事手伝えないかもしれないので。そのご報告を。』
「そう、それならメールでもよかったのに…。」
『いえ、そうも行きません。これは大事な用件でしたので、直接にと思いまして。それでは。』
「うん。それじゃあね。(あーあ、残念。)」
ビシっとナマエは目の前に居る、この学園の秩序である、雲雀恭弥の前に立つと敬礼をする。軍人としてやっていたのが未だに離れず、上の者には敬礼が既に日常と化していた。他の人も最初は驚いていたが、今ではこれは“私”の長所として見られていた。風紀委員に入ったのもはっきり言って、内申書の為。この学校のトップの端でもいいから入っておけば、この並盛では結構いいスキルに違いなかった。まぁ、そのお陰で絡まれる回数も増えたが、そんなのはナマエにしてみれば痛くも痒くもなかった。それは置いといて、ナマエのサッパリとした人柄とはっきり物を言う心意気(?)が買われ、今では草壁副委員長と並んで雲雀恭弥の隣に立てる権利まで貰った。いや、草壁副委員長よりも地位は上だと、雲雀恭弥は言っていた。
ナマエは用件を伝えると、左腕に着けた腕章を鞄に直して雲雀恭弥の前から立ち去った。雲雀は歩いて行くナマエの方角を横目で見ながら、応接室にあるナマエの好きなケーキをどう処分するかを考えていた。
***
ナマエが会議室に向かうと既に、割り振られている席にたくさんの人が集まっていた。黒板に書いてある席の並びでナマエは、自分のクラスの席に座った。本日の集まりは20日後に行われる“並中祭”と呼ばれる、文化祭の話し合いの為。一つ前の風紀委員長の代までは、よく行われていたのを知っている。しかし、今の雲雀恭弥の代になってからは、“経費の無駄”という事で全く行われなかった。だが、何かの発端で止めると言った雲雀が急遽、今年は行うと言い出してこんな事になったのだ。
(ってか、あれだけ嫌だとか言っていた雲雀先輩なんでやる事にしたんだろう??……あれ??何か、私が“文化祭したいな〜”何て呟いた次の日にはもう既に噂で“文化祭復活!”とか、何かになってなかったけなぁ??でも、何でだったけ?そんな話になったのって…。)
と、またもや、上の空で考えていると、頬が横に伸びる感触を感じた。顔を上げれば隣に自分と同じ、文化祭実行委員の田上君は居らず、あの疫病神が座っていた。こいつ!!と思っていれば、実行委員長が山本に対して当てられた席に着く様に促すが、“俺、背が高いので後ろに居ます!!”と言えば、委員長はそれを承諾した。一番前にはこの学園のマドンナで友達の笹川京子が席に座っていた。ナマエ的にはこんな疫病神よりも、マドンナである京子が隣に座って欲しかった。
『何で、あんた。こんなめんどくさい仕事やる訳?』
「うん?授業中寝てたら、こーなってた!!」
『…。』
カラッとした笑顔を向けられてナマエはもう、ツッコミを入れる事も諦めていた。
そんな中、自分と山本を見つめる目線に、ナマエは気付き心の中で溜め息をついた。
(“何も”起きません様に…。)
***
その淡い願いは神様に届いた様で、その目線の持ち主たちは全くナマエに対して被害をそれから出さなかった。諦めたのかな〜??などと考えていた並中祭4日前、願いは見事に打ち砕かれた。
ザワザワザワ…。
2年Cクラスの前に来てみれば、昨日完成したCクラスで行う喫茶店の看板が壊されていた。看板だけではなく、全員で飾り付けをした黒板や窓の折り紙も全てボロボロになっていた。破片の上にはご丁寧にナマエの名前を名指しで書いていて、犯人が誰かをそれによって指し閉められていた。これを見てナマエは微かな違和感を覚えながらも、怒り狂うクラスの仲間を何とか押さえ込み、全員に謝った。しかし周りの反応はそれでも収まらず、逆にナマエは悪くないの一本だった。
『みんな…。』
「当たり前だろ!#???が悪くない事はこの学校中が知ってるぜ!!」
「そうだぜ!これはもう、殴りこみしかないって!!」
『いや、待って。皆。』
「ナマエちゃん…?」
『殴り込みはしたいけど、はっきり言って。私達は彼女等がやったと言う証拠はない。』
「でも、お前の名前はあったじゃんーか。」
『“でも”名前だけでしょ??彼女等のせいに仕様としてる様にも感じるのよ。実際の話…。』
「そうだな…。」
「…???が、そう言うなら…。」
ナマエの冷静的な判断と話し方によって、クラスの友達は皆冷静さを取り戻して行く。皆、ナマエと彼女達こと、花圃グループのやり取りは直接だって見ている。イジメと言ってもかなり堂々としたイジメなので、先生達も“喧嘩”の分類で見ている。ましてや当の本人の反応を見て、先生達も深く関わろうとも考えていないのも事実。それに花圃グループのやるナマエに対してのは、直接本人を狙っての犯行あ多く、周りに被害はない。しかし、今回のはナマエだけでは無く、周りにまで被害が出ている状態だった。だからこそ、ナマエは“第三者”を疑ったと言う事だった。
その説明を聞き、クラスの全員は“すごい”の一言だけだった。もう一人の実行委員である田上君は、それを聞いてやる気を出してまた一から頑張ろう!と皆に言った。クラスの皆もそれに賛同して作業に取り掛かった。そんな中ナマエは、一人看板の前に立ち何かを考えていると行き成りこう切り出した。
『田上君。』
「何????さん。」
『看板は私が全部一人でやるから、誰も手はつけないでね。』
「うん、分かった…よって!!」
えぇぇぇーー!!と2年の教室全体に響く様な叫び声がその日木霊した。
***
=並中祭まであと3日=
材料の調達に手間取ってしまったが、何とかなり、ナマエは一人放課後残って作業を続けていた。最後まで手伝う!!と言っていた美代達を追い返す様に返し、看板様の板に白いペンキを塗る。フワッと自分の髪が風に揺れ、気になって後ろを振り向けばボフと誰かの胸の中に入る。自分が抱きしめられたと分かったのは、背中に回された腕から力が入った瞬間だった。軽く溜め息をついて、抱きしめている本人の腕を放してもらい、その方に声を掛けた。
『珍しいですね、骸さんが並中にやってくるだなんて…。』
「そうですか?最近、ナマエが僕に会いに来てくれないので、僕の方から来たんですよ?」
『そうだったんですね、それはすみません。でも…。』
「分かっています。大変ですからね、並盛中は。」
『そうですね、ちょっと委員長の前で黒曜中の文化祭の話しをしたら、何故かこんな事に…。』
それを言えば、黒曜中の制服を着た六道骸は独特な笑い声を出して、それは嫉妬ですよと答えた。ナマエは?マークを頭に乗せて、冗談は止して下さいと笑っていた。骸は軽く溜め息を吐き、ナマエの髪に軽くキスを落とせばいつもの様に霧になって消えた。骸が消えたと同時に教室の扉が開き、そこから雲雀が現れた。
「看板出来た?」
『あ、はい。って言ってもまだ下地のみなんですけどね。でも文化祭当日には間に合いますよ。』
「そう、それなら良かった。」
『いえ、こちらこそです。雲雀先輩。』
真っ白に塗られた板を手に持ち、ナマエは雲雀に見せていた。雲雀はそれをナマエから受け取ると、ナマエが帰り支度を終えるのを見届けて一緒に教室を出た。
***
=並中祭まであと2日=
(あぁ…早く看板の続きをやりたいのに…。)
などと考えているナマエは、文化祭の大きな目玉に分類されている特別ステージを作っていた。それは、並中の屋上に作られている“並中の屋上で愛を叫ぶ”などと言う模様し事。どっかで聞いた事のある名だが今は、そんな事を考えている暇はなかった。さっさとこのステージを作ってしまおうと考えていれば、すぐさま他の場所から頼み事が回ってくる。
(だあぁぁ!!だから、私は早く教室に戻りたいのにぃぃーーー!!)
***
(お、終わった…。)
ナマエが実行委員の仕事を終えたのは、放課後だった。たらい回しの要領で仕事が終わればすぐさま違う部署へと回される。自分以外にも実行委員は居るのにも関わらず、何故か自分に仕事が回って来ている事に対して何かしらの陰謀をナマエがあると考えていた。(ただ単に、先生や生徒に頼られているだけ。)のろのろと教室まで戻ると、教室の中から人の気配を感じ取り、自分も気配を消して近付いた。
自分が風紀委員をいい事に、使える権力を使って、二度目は無い様にしていたのにしくじった…。そう考えてナマエは教室の扉を、一気に開き中に居る者に威嚇した。
『二度も看板壊すなよー! 「わ!」…って綱吉くん?!』
ドアをいき良いよく開いた為、扉は聞いた事の無い音が出た。その音とナマエの声に驚いたのは、2-Aの沢田綱吉だった。看板破壊の奴らだと思っていたナマエは、目の前に居た綱吉を見て驚き慌てた。素早くナマエは綱吉に近付けば、綱吉は苦笑いをしながら口を開いた。
「ごめんね、勝手にクラスに入ってて…。」
『いやいや…私こそ、急に大きな声出して…それよりどうしたの??』
「いやね、ナマエちゃん、一人で看板を作り直しているの知っていたから…。」
『わざわざ残って手伝おうとしていたの??』
「う、うん…。」
少し恥かしそうにそう言う綱吉を見て、ナマエは軽く溜め息を吐いて微笑んだ。その微笑を見て綱吉の顔はほんのり赤くなっていた為、ナマエに心配された。何でもない!!と言えば、再度ふんわりとナマエは笑い、綱吉の側に置いてある看板に手を掛けた。真っ白なキャンバスにナマエは、大きめの刷毛を手に取りそれにペンキを着ける。ジッと看板を見つめ何をするのかと綱吉が見守る中、ナマエは素早く看板に文字を描いた。すごく達筆なその文字に綱吉は感動を感じたが、そこに書かれた文字には絶句した。
「…。」
『?どうしたの?綱吉くん。』
「…ナマエちゃんもするの??」
『あぁ、私?するよ、考案者だからね!』
「…。」
ビシっと親指を立ててナマエはそう綱吉に伝えれば、綱吉は顔を両手で覆い隠した。
何事かと思えば、壊れた扉を立て直す音が聞こえ、そちらを振り向けば其処には風紀委員長が居た。ナマエは軽く挨拶を行えば、溜め息を吐かれナマエの持つ看板を持って出て行った。それを確認しナマエと綱吉は後片付けをして学校を後にした。
***
=並中祭まであと1日=
本日は実行委員の仕事もそんなにする事も無い為、ほとんどの時間を看板作成に費やす事が出来た。
(よし、完璧!!)
ナマエが最後の仕上げとして看板の周りに、着ける花を作っていると近付いて来る足音が…。その足音は昔から聞いている物の為、ナマエは溜め息を吐くしかなかった。それでも花を作る作業は止めずナマエは、平常心を装って居たのだが…。
「よ!助っ人登場〜!!」
『…。』
ブン!
「うお!危ねぇ!!」
『チッ…。』
「舌打ちって酷くねぇ〜?」
『…酷くない。』
人の苦労を知ってるのか分らない。そんな軽い声を聞いた瞬間に、既に拳を掲げていたナマエ。それを武は軽々と避けて教室へと入って行く。
ここ最近、綱吉くん家のカッコいい方の赤ん坊とつるむ様になり、武はナマエの攻撃を簡単に避けるようになった。昔は、そんな事無かった為、何だか現役時代の自分だった頃とは弱くなったと思ってしまっていた。(実際に筋肉の質量などは軍人時代とは比較的に違います。)それでもナマエにとっては、男女の差と思ってしまうのが嫌だった。
そんな事を考えているとは思わないだろうと、思う明るい声が前から聞こえて来る。
「それでさ!俺、何か手伝う事あるか??」
『ない。』
「え?」
『…と、言うよりか。武に手伝って貰った方が迷惑。』
「…。」
ピシャンと投げつけられ拒否の言葉を、言ってナマエは作業取り掛かる。その言葉を聞き武はポリポリと頭を掻いて、近くの椅子に腰掛けた。それからは長い沈黙のが続く…。
(や、やってしまった〜!!何で私はいつもこう武に当ってしまうの〜!?)
そんな沈黙の中ナマエは表に出さない様に反省をしていた。この世界に転生する前、ナマエは“山本武”のファンだった。なのに、こちらに転生してから“二次元”が“三次元”になってしまってから、何故か態度が…。あんな感じになってしまった、周りから言われる事は、“ツンデレ”しかし、自分から見ても“ツン”の部分が多いと思ってしまっていた。“好き”の二文字を伝えられないのは、今も昔も同じ。新しい自分は素直な女の子を…などと思っていても、ホントに好きな人にはこんな態度。変われない自分、昔の旦那も自分からではなく彼から“好き”を伝えられた。
(変わりたいのに…。)
変われない自分。もどかしい気持ちでいっぱいの中、花は完成してそれを取り付けると看板は完成した。
「…。」
『…。』
そのまま無言のまま、ナマエと武は自宅へと向かっていた。互いの家の前に辿り着いて、武が立ち止ると最後にニッコリ笑顔でこう言った。
「じゃな!明日、朝一に学校来いよ。」
『…なんで?』
「う〜ん。それ言うと楽しみがなくなるぜ?」
とにかくな!と言った武の言葉を聞き、不安になりながらもナマエは自分の家に帰った。
***
=並中祭当日=
『寝過ごしたーーー!!!』
日ごろの疲れのお陰で、ナマエはものの見事に、学校に行くのに遅れた。いや、武の言った朝一に間に合わないっと、言った方が正しいのだが…。バタバタと家を出て急いで学校に向かって走り出す。徐々にナマエが学校に近付くにつれて、周りの人達の目線が刺さって来る。何事かと思っていれば、微かに聞こえる声を聞き、ナマエは荒れた息を整える間も無く校舎の階段を駆け上がった。
(こらー!!武!!)
(よ!やっと来たか…。俺叫び過ぎて疲れたぜ…。)
(な、な、何て言う事を!!!)
(いーじゃねーかよ。それで、返事は?)
(そ、そんなの当たり前!)
180度違う世界
君と私が彼氏彼女になった瞬間だった。
END