「あったけぇなー....」
「そうですねー...」

11月に入ってきて、冬の風が吹き始める。それでもお昼頃になると日向は過ごしやすい気温になった。

そこで日向ぼっこをしていたのが燐と子猫丸だった。

「奥村くんはよく此処に来はるんですか?」
「いや、最近見つけた。だから誰か連れて来ようって思ってたんだ。いいところだろ?」
燐は子猫丸に向かってニカッと笑う。
「はい。あったかくて気持ちええところですね。時間がゆっくりと進むような。そんな気がします。」
燐の笑顔に応えるように子猫丸もニコリと笑う。
「だろ?最近何かと忙しかったし、こういうのんびりした時間も必要だと思ってよ」
「そうですね。今度は坊たちも呼びませんか。」
「おう。今度な」
「はい。楽しみにしとります。」

その会話のあと、会話が途切れ静かになった二人の耳には風で揺れる木の葉の音だけが聞こえる。

「なぁ子猫ま....」

燐はそこまで呼んで口を閉じた
燐の目線の先には、スースーと寝息を立てる子猫丸がいた。
そんな子猫丸の寝顔を見て燐は微笑すると何やらその場から離れた。

少し経ち、燐が戻ってくる。
その手には何かが握られていた。
子猫丸のところまで来ると、持っていたものを子猫丸の頭に乗せる。
子猫丸の頭に乗っているもの。
花冠だった。
燐が作ったのか、お世辞にも上手いとは言えないような出来だが、色とりどりの花で作られた花冠は綺麗だった。
花冠が乗せられても未だに眠っている子猫丸を、燐は少しの間微笑しながら見守っていた。

5分程経った。
子猫丸が目を覚ます。
この5分は燐にとっては一瞬だった。
燐は子猫丸のその寝顔に癒され、最近多忙だった事すら忘れることができた。
「あれ...?ぼく寝てもうたんですか.....」
目を擦り、ずれた眼鏡を直す。
「お。起きたか、お早う。」
「あ、お早うございます。それと、すみません!折角奥村くんに連れてきてもろうたのに寝てしまって....あまりに気持ちええもんですから...」
「え?あぁ気にすんな。俺も寝ちまってたし。」
申し訳なそうに眉を八の字にする子猫丸に、燐は小さな嘘を一つついた。すると子猫丸は心底安心したような顔をする。
−コイツ可愛いな−
燐は純粋にそう思った。
「あれ」
そこで子猫丸があることに気づいた。
「この花冠、どないしたんですか?」
「え?あ...それか?それは....」
「奥村くんが作りはったんですか?」
「えっ」
どうやら子猫丸にはお見通しだそうで。
「あー...おぅ。俺が作った...」
その言葉を聞いて、子猫丸は微笑した。
「やっぱり。この花冠、まるで奥村くんやて思うたんです。」
「どういう意味だよ?」
「不器用で、少し脆くて。それでいてとっても綺麗で。ね?まるで奥村くんやないですか。」
可愛い笑顔で、子猫丸はそんなことをサラリと言う。
「おぅ。そうか...」
燐は照れてしまい、その一言しか発することができなかった。
そして話を逸らすように言う。

「また来ような。」

子猫丸はその言葉を聞いてまた微笑み、はい、と言った。





終わり


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ごめんなさい、可愛いです
伊蝋葉さんのお宅が二万ヒットということでフリリクをやってたんですけど
サイトに置いてないCPお願いしちゃって、すみませんでした!
だが後悔はしてませヾ(^^ヘ)

燐猫かわいいです!
ありがとうございました!
二万ヒットおめでとうございます(^^)
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