☆一緒に暮らそう(鬼春)
「一緒に暮らさないか」
学校の裏の校舎。こんなとこに呼び出して、どんな告白をされるかと思ったら。ねえ、言ったよね?私、今の家族が大好きなの。それに、私は今更、お兄ちゃんとは暮らしたくない。ねえ、解らないの?やめて、手を離して。真剣に言わないで。
「俺たちは本当の家族だ、だから、春奈」
だから、やめてってば。私は今の家族が大好きなの。何度も同じことを言わせないで。なら、お兄ちゃんが私たちの家族のところに来たらいいじゃない。ねえ、そうしようよ!お兄ちゃんがこっちに来てよ!
「違う、二人で暮らすんだ」
「何を言ってるの?」
「二人で暮らすんだ」
「どうして?嫌だよ」
「何故だ」
「だって、無理だよ!」
解ってよ。無理だよ、今更一緒になんて暮らせないよ。こわいっていうのが解らないの?こわいよ。お兄ちゃんがお兄ちゃんに見えなくなるのが。今更、同じ家に暮らすなんて、洗濯物とか、いろいろ、そう、いろいろと不安なことがありすぎる。
「無理じゃない」
「あたしが無理なんだってば!」
「春、奈?」
「無理なんだってば」
お兄ちゃんが異性に見えてくる自分が恥ずかしい。
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