きみと同じ幸せがいい | ナノ




大学の無駄に長ったらしい講義を終えて家に直帰する。鍵を開けたつもりが閉めてしまって、朝閉めるの忘れていたかと一瞬思ったがちゃんと掛けたことを思い出した。心当たりは、あいつしかいない。


「おーお帰り、工藤。」


服部が東京の大学に通うのにそこから近いマンションを借りて一人暮らしをすると聞いた時に、これからは好きな時に工藤に会えるなぁと嬉しそうに言ったのを見て反射的に合い鍵を渡した自分が居た。


「ただいま。」

「今日泊まってもええか?明日休みやし、一緒にゆっくりしようや。」

「おう。」


服部とは偶然にも同じ大学で学科も同じだけど、取ってる授業が多少違う。今日は俺が四限にゼミがあったので、服部の方が早く終わった。ゼミは名簿順なので、クラスが違う。俺は黒羽と、服部は白馬と一緒だ。この二人も偶然大学が同じ。


「なぁ、工藤ちょっと来ぃ。」

「あ?」


手招きする服部の前に立つ。すると、がばりと抱き締められた。こうして抱き締められるのは久し振りかもしれない。最近何かとレポートや事件に追われて忙しかったから。


「服部、」

「ちょお充電させてや。」

「ん。」


肩口に顔を埋めて抱き締める腕に力を入れる。そんな服部に応えるように俺もそっと服部の背中に腕を回した。




2012/04/13/hmr


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